医療大全
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[意思決定]私と人生会議<8>最期をより良く生きる
人生の最終段階に受けたい医療やケアについて、支えてくれる人たちと事前に話しあう「ACP(アドバンス・ケア・プランニング=人生会議)」。読者の経験も考え方も多様だ。その一部を紹介する。
東京都の評論家、樋口恵子さん(88)は、自分の意向を書き添えた名刺を保険証のケースに入れて携帯している。<私、回復不可能、意識不明の場合 苦痛除去以外の延命治療は辞退致します>。その意思を娘や知人らにも伝え、共有している。
21年前、夫を亡くした(享年69歳)。夫は脳梗塞で倒れ、3年余にわたって、自力では体を動かすことも、食べることも、呼吸することもできなかった。
樋口さんは、胃につけたチューブから栄養を入れる「胃ろう」をつくる同意書にサインした。夫は、右手の親指を動かして渋々と納得したが、後に意思を変え、結局、つくらなかった。
それでよかったのか、樋口さんは今も答えが出ない。十分に話しあえなかったことは「生涯のトラウマ」になった。
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