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夫と腎臓とわたし~夫婦間腎移植を選んだ二人の物語 もろずみ・はるか

医療・健康・介護のコラム

生きるには「透析しかない」と思い込んでいた私 患者が治療法を選べる情報提供を

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もし担当医から「移植は反対」と言われたら……

 先日、Facebookに、私と同じ境遇だという女性からメッセージをもらった。偶然にも出身地が同じで、13歳でIgA腎症を発症し、夫から腎臓を提供してもらったという経緯も一致していた。なんだか旧友にでも再会した気持ちになり、「そうそう、私もそうだったよ!」と興奮まじりに移植までの経緯を共有していたのだが、やりとりの途中でスマホをスクロールする手が止まってしまった。メッセージにはこう書かれていた。

 「私は体調が悪化してから、苦しさゆえ、もう仕方ないと覚悟を決めて、透析導入のためのシャントをつくりました。病院側は透析を勧めるばかりで、移植反対派の病院だったようです。でも、私は本当にこのままでいいのか?と自問自答を繰り返してしまい、これまで何も勉強してこなかった自分を反省し、もう一度、食事療法などが学べる場を求めました。私を受け入れてくださる各地の病院の腎臓病セミナーへ出向くなどして、少しずつ情報収集していきました。はるばる東京の病院まで行ったりもしたんですよ(笑)。とにかくその頃は必死でした。そうして最終的にA病院のセミナーに参加し、主人が『この先生にお願いしよう!』と臓器提供を申し出てくれたんです」

 彼女のメッセージで気になったのは、“病院側は透析を勧めるばかりで、移植反対派の病院だった”という箇所だ。実は以前から、似たような体験談を複数の患者から聞いていた。

患者が「生きかたの選択」をできるように

 例えば、こんなエピソードである。

 「血液透析をしていたが、家族が腎臓を提供したいと申し出てくれたので担当医に相談した。しかし、『腎移植には反対』と難色を示され、紹介状も書いてもらえなかった。仕方なくネットで検索して、臓器移植を行う施設を見つけて自力で転院した。とてもバツが悪かった」。

 もちろん、病院によって考え方は様々だし、患者のライフスタイルに合うベストな治療法が透析であると、病院側が判断したのかもしれない。日本の透析医療は世界一のレベルだという。私の親戚にも透析医療を受けている人がいるが、「自分にはとても機能している。透析は素晴らしい医療で大変満足している」と心から感謝している。

 ただ、患者にとって透析と移植のどちらを選んだ方がいいか、それは本人にしかわからないことだとも思う。もちろんこの私にも、誰かに特定の治療法をオススメすることはできないし、この先、透析治療を受ける可能性がないとも言えない。あくまで私の実体験は、「サンプル1」に過ぎないのだと肝に銘じた上で、このコラムを書いている。(もろずみはるか 医療コラムニスト)

監修 東京女子医科大学病院・石田英樹教授

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もろずみ・はるか

医療コラムニスト
 1980年、福岡県生まれ。広告制作会社を経て2010年に独立。ブックライターとしても活動し、編集協力した書籍に『成約率98%の秘訣』(かんき出版)、『バカ力』(ポプラ社)など。中学1年生の時に慢性腎臓病を発症。18年3月、夫の腎臓を移植する手術を受けた。

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