本ヨミドク堂
医療・健康・介護のコラム
『防災福祉先進国・スイス 災害列島・日本の歩むべき道』 川村匡由著
ヨーロッパの中央、九州ほどの面積に、大阪府ほどの人々が暮らすスイス。この小さな国が作り上げた災害対策に学ぶ。筆者は武蔵野大学名誉教授。
同国では、兵役の代わりに防災訓練への参加を選択できるようになり、連邦政府と各州政府の指示による市民保護に力を注いでいる。国民には自然災害保険加入を義務付け、補助金を利用して自宅や集合住宅に建設する核シェルターには、災害時に2か月分の食料や物資を備えているという。「脱・限界集落はスイスに学べ」などの著作がある筆者は、豊富な現地取材をもとに、平時から災害時までの社会福祉のあり方について、日本との違いを述べていく。
日本とスイスでは人口規模や地理条件、起きうる災害も異なるが、避難所が中心となる日本に対し、スイスでは「自宅避難」が主となる点など、新型コロナウイルスが流行する中での災害対策が差し迫る今、学ぶところがありそうだ。
(旬報社 1600円税別)
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