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アラサー目前! 自閉症の息子と父の備忘録 梅崎正直

医療・健康・介護のコラム

苦節10年 やっと背中に触れた!…愛犬がくれた「奇跡より大きなもの」

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「ささやかな奇跡」を期待

ようやく触れるようになった洋介

 ももがわが家に来て間もない頃、僕は、神奈川のある老人施設を取材した。アニマルセラピーという言葉が聞かれるようになった頃で、今はなき雑誌「週刊読売」のグラビアページで取り上げたのだ。

 東京の獣医さんを中心としたグループが犬たちを連れ、定期的に施設を訪問するのだが、当然ながら、動物が好きな高齢者もいれば、嫌いな高齢者もいる。若い頃に犬を飼っていたり、飼いたいと思ってもかなわなかったりした人は、とてもいい表情をしていた。その中で、一人の女性が中型犬の背中を触っていたところ、職員らがたいへん驚いた。

 「全く動かなかったほうの手が、動いています!」

 ほんのわずかな動きだったが、「小さな奇跡も起きる」と記事に書いた。

 ささやかな恵みを洋介にも……と思わなくもなかったが、そんなことより、3人の子どもたちの育ちに、それぞれに必要な形で寄り添ってくれたのが、うちのももであった。

10年かかったけれど

 ところで、洋介がももに触れるようになったのは、もう特別支援学校の高等部に行っている頃だったから、10年はかかったことになる。正面からは怖いので、背中の横から近づいて、そっと触ったり、引っ込めたり。もうおばあちゃんになったももは、ちらっと見るだけだった。

 10年かけて犬との関係を築いた洋介だったが、つい先日、テレビを指さして「イヌ!イヌ!」と言うので、家族みんなが振り返って見たら、それは猫だった。洋介にとって、14年を一緒に過ごしたのは、犬でも猫でもない、何か特別な存在だったのかもしれない。(梅崎正直 ヨミドクター編集長)

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梅崎正直(うめざき・まさなお)

ヨミドクター編集長
 1966年、北九州市生まれ。90年入社。その年、信州大学病院で始まった生体肝移植手術の取材を担当。95年、週刊読売編集部に移り、13年にわたって雑誌編集に携わった。社会保障部、生活教育部(大阪本社)などを経て、2017年からヨミドクター。

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