ピック病(認知症)介護『父と私の事件簿』
医療・健康・介護のコラム
[コロナ編]緊急事態宣言下に「歯が取れた!」…幻の歯科医院を目指す父 日に3度、治療室を訪ねた入れ歯騒動
口腔ケアに気を配るべきだった!
父は以前から、上下の部分入れ歯を使っており、その形を見るに、まだ何本かは歯が残っていると思っていた。しかし、驚いたことに、形が残っている歯は1本しかなく、入れ歯をかけられる場所でもなかった。奥にまっ平らに近い歯があり、そこには入れ歯をかけていたようだが、ほかは数年のうちに次々と抜けたようで、「正直、どうやって入れ歯を安定させて食べていたのか分からない」と歯科医も首をかしげる。きちんと磨けていなかったようで、衛生状態も相当悪くなっていた。
父が車の運転をやめて2年半。その前からも、歯科医にはあまり行っていなかったようだし、 おでこが骨になるけが をしたり、認知症が進んだりで、歯科に連れて行く余裕が私になかった上、本人も特に痛がらなかったので、 口腔 ケアをしてこなかった。しかし、高齢の父にとって、時々口の中を診てもらうことは大事だったのだ。
口から出すのは認知症の症状だと
以前から父は、葉物野菜、かみかけた肉などを口から出すことが多く、そのことを認知症専門医の先生は、「口から食べ物をぺっぺと出すのは認知症の症状」と見ていた。が、どうやら、「入れ歯がまったく合っていないから、かめずに出していた」のが真相のよう。「かめてるの? 入れ歯が合ってないなら、歯医者に行かないと」と、父に聞いたこともあったが、本人は「平気だ」と言うので、そのままにしてしまった。考えてみたら、おでこが骨になっても「なんともない」と言っていた父の「平気だ」と「大丈夫だ」は、信用してはいけなかったのだ。
「あ~あ」と後悔していると、先生はとりあえず、この日取れた歯の根っこに、入れ歯をかけるプラスチックの土台をつくってくれた。応急処置だし、たぶんまだ合っていないから、明日も来るように言われる。ところが父は、待合室に出た瞬間、くるっと背を向けて、もう一度治療室へ。さっそく「合わなかった」ようだ。ピック病の「待てない」症状が、ここでも 炸裂 して申し訳ない。
さらにこの後、外に出てスーパーで買いものをしていたら、急に「もう一度、行ってくる」と、一人で歯科医院に走って行ってしまった。私はあわててかごを置き、店中に響き渡る声で「ちょっと、勝手に一人で行かないで!」と叫んで追いかける。もういやだ。
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うちも認知症の父と同居で、私はフリーランスのライターです。 というわけで、同じようなことをやってます。苦笑 特に「自分のことは自分が一番よくわか...
うちも認知症の父と同居で、私はフリーランスのライターです。
というわけで、同じようなことをやってます。苦笑
特に「自分のことは自分が一番よくわかっていると言い張る」「尿失禁の自覚がなく着替えさせるのが一苦労」(このあたりはまぁありがちだと思いますが)、「あめの過食」、「リモート取材時の勝手な出演」については、「同じことで悩んでいる方がいたんだ!」とある意味うれしくなりました。
うちの父は現在96歳で、ほぼアルツハイマー型。記憶障害が日に日にひどくなっており、新型コロナ流行に伴う状況が理解ができていないことに苦労しています。
それに加えて、なんと身体機能や見かけが70代前半(!)という医師お墨付きの異常さもかなり難点です。
母は早くに亡くなり、私はひとり娘。夫がよく協力してくれるのが救いではありますが、「仕方ないなぁ」「かわいそうだ…」と思いつつも、毎日腹が立つしイライラするし、精神の均衡をなんとか保ちながらやってます。
この状況なので、外取材が激減したのは良かったともいえるのですが、私の専門分野はコロナ禍の影響をモロに受けるところでもあり、先が見えない不安から精神的にじわじわ追い詰められている感じもあったり。
そうそう、20199年(2018年分)までは父は自分でパソコン使って確定申告をやってたのですが、昨年は結局やらず(今思えば認知症が始まっていた)。私も父の医療費明細の管理などしてなかったので20200年分はもう無理ですが、2021年分はしっかり管理しようと思ってます。でも今年977歳だからなぁ~。
とにかくコロナだけでも早いとこなんとかなりますように!!
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