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気象予報士ママの「健康注意報」 新見千雅

医療・健康・介護のコラム

女性に多い低血圧症…夏季もご用心、症状を軽くするには?

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(提供・日本気象協会)

 健診などで血圧が低いことを指摘されたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。低血圧は、40歳以下では女性に多いようです。

 しかし、血圧が低いということだけでは病的な状態であるとは限らず、自覚症状や日常生活に影響がないこともあるため、低血圧に明確な基準はありません。

 一般的に用いられている低血圧の診断基準は、女性では収縮期血圧100mmHg未満、拡張期血圧60mmHg未満とされています。

 私も普段から血圧が低めで、子どもの小さな背丈に合わせて動作をしていた姿勢から、ふと立ち上がった瞬間や、子どもを抱っこしたり重たい荷物を持ったりしながら立ったままでいると、ふらふらしてしゃがみ込み、数分休むと回復するというようなことが時々あります。

 低血圧の症状がある方は、めまいや立ちくらみのほかにも、 倦怠(けんたい) 感、頭痛や 動悸(どうき) 、胃もたれなどがあるようです。

 低血圧は基礎疾患の有無や、低血圧が一過性か持続性かなどによって分類されます。

<本態性低血圧> 原因疾患を伴わずに血圧が慢性的に低い状態で、10%~20%の方に自覚症状があるといわれている

<二次性低血圧> 心疾患、胃腸疾患による栄養不良、けがなどによる大出血、内分泌の異常など

<起立性低血圧> 立ち上がったり、長い時間立ち続けていたりする時に起こる、急激な血圧低下で、立ちくらみやめまいなどの症状が出るもの

 本態性低血圧に起立性低血圧が重なることもあります。
 二次性低血圧なら原因疾患の治療が優先されますが、低血圧の症状があっても、原因がはっきりとは分からない本態性低血圧に分類される方も多くいらっしゃいます。

血圧調節に自律神経が関係しており、気温による影響を受けることもある

 血圧は一日の中でも時間帯や動作によって刻々と変化し、これには自律神経が大きく関係しています。

 自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、血圧は、日中は交感神経が活発になるため上がり、夜間は副交感神経が活発になるため下がります。この二つの神経は作用が 拮抗(きっこう) します。

 そもそも、血圧を決定する因子は、「 末梢(まっしょう) 血管での血液の流れにくさ」と「心臓から拍出される血液量」です。この二つの増加に、交感神経の活性化が関わっています。このほかにも、血液の循環量、血液の粘性、大動脈の弾力性などが影響します。

 そして、血圧は季節によっても変動し、主な要因は気温だと考えられています。暖かい時期になってから低血圧の症状が頻繁に出るようになった方は、夏という季節が影響している可能性があります。

 人間は恒温動物なので、気温が高くても低くても、体温を常に一定に保つように調整していて、体の中の重要な器官である脳や内臓などの深部体温は、気温の影響を受けにくくなっています。一方で、体の表面の温度である皮膚温は、手や足など体の中心から離れた末梢ほど、気温の影響を受けやすくなっています。これは、皮膚の血流量や汗の量を調節することによって、深部体温が影響を受けて変動する前に、体温をコントロールするためです。

 気温が上昇すると、汗をかくために皮膚血管が拡張し、「末梢血管の血液の流れにくさ」が軽減されます。また、汗をかくと体温の上昇を避けやすくなりますが、皮膚の血管が拡張されて血流が増加することで、内臓など体の中心の血液量は減少し、体中に行きわたった後に心臓に戻ってくる血液の量が減ります(静脈還流量の減少)。心臓の収縮力や心拍数なども関係しますが、心臓に戻ってくる血液の量が減ると、「心臓から拍出される血液量」が少なくなることがあります。
 これらのことから、気温の高い時は血圧低下を招く可能性があります。

 また、夏季は汗を多量にかくことによって、血管内の水分と塩分を失うことにより、血液の循環量が減り、「心臓から拍出される血液量」が少なくなり、血圧が低くなることもあります。

 さらに、熱中症が懸念されるような暑熱環境では、普段は気温の影響を受けにくい深部体温が上がりやすくなることで、より一層皮膚の血流量が増加するのに加えて、発汗により血液の循環量が減りやすいため、低血圧の症状が出ることがあります。
 いつも血圧が高めの方も、気温の高い環境では急に血圧が下がることがあるので油断できません。

 一方、夏季とは反対に、冬季は血圧が上がりやすくなります。これには、日照時間や運動量、ストレスなどの影響もありますが、体が体温よりも寒い環境にさらされると、体の熱が放散されるのを防ぐため、皮膚血管が収縮して血流が減少し、末梢血管の血流が流れにくくなることも関係しているようです。

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気象予報士ママの「健康注意報」

新見 千雅(にいみ ちか)
日本気象協会 気象予報士

 呼吸器、透析分野で看護師として勤務した後、気象会社で原稿の作成やラジオ番組を担当。現在は、日本気象協会と株式会社JMDCが進めている、気象データとレセプト(医療報酬の明細書)データを使って、様々な疾患の発症・重症化リスクに関する情報を提供するサービス「Health Weather(R)(ヘルスウェザー)」プロジェクトに参加している。
 2児の母として、妊娠・出産・育児にまつわる天気のコラムを執筆中。


鈴木 孝太(すずき こうた)
愛知医科大学医学部 衛生学講座 教授

 1974年、東京都生まれ。2000年、山梨医科大学医学部卒。2005年、山梨医科大学大学院医学研究科修了(博士(医学))。2011年 、University of Sydney Master of Public Health (MPH) Coursework修了。山梨大学医学部助手、助教、特任准教授、准教授を経て、2016年から現職。専門分野は周産期から小児期にかけての疫学、産業保健、ヘルスプロモーション。
 最近は、「Health Weather(R)」と共同で、気象と健康に関する研究を実施している。



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