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常喜眞理「女のココロとカラダ講座」

 思春期から妊娠・出産、更年期と、変化していく女性の体は様々な健康リスクに見舞われます。そこに、子育てや人間関係のストレスも重なって……。各年代の女性に特有な心身の悩みを乗り切るには、何に気をつければいいのでしょうか。健康診断や会社員のメンタルヘルスにも取り組む開業医、常喜眞理さんが答えます。

妊娠・育児・性の悩み

「右足を刺されたのに左足まで発疹」なぜ?…蚊に注意 危険なウイルスも媒介

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 30歳代前半のBさんは、手足の数か所を虫に刺され、かゆくて痛くてつらいと訴えて来院された。蚊に刺されると、いつもその場所が腫れやすいが、こんなにひどくなったことはなかったという。刺された部位は赤く腫れ、一部は硬くなり、そのてっぺんには (うみ) がみられた。

 Bさんは、「蚊だけではなく、ブヨにも刺されたのでしょうか」と心配そうに尋ねた。「膿が出ているところは、そうかもしれませんね。でも、早くいらしてくれたので痕が残らないですみますよ」と伝えて、ステロイドの塗り薬とかゆみを抑える飲み薬を1週間ほど処方した。飲み薬も処方すると驚かれることもあるが、これは、かゆみが強くて患部をひっかき、細菌感染を招くことを防ぐためだ。

かき壊したことで炎症が別の部位に

 20歳代後半のNさんは、両方の 下腿(かたい) (ひざから足首まで)に真っ赤なぶつぶつが広がってしまった。2か月ほど前に右側の足首の近くの2か所を蚊に刺され、いったん良くなった。しかし、翌日からまたかゆみが増して、気付いたら、対側の左下腿まで発疹が広がってしまったのだという。

 これは、残っていた虫の毒が広がってしまったわけではない。ひっかくことによって発疹が悪化し、別の部位にも広がってしまう現象だ。かき壊した自分の皮膚が原因となって、免疫細胞であるリンパ球が働き出してしまい、なんでもなかったところにまで炎症・発疹を起こしてしまう。

 このような現象は、虫刺されに限らず、かぶれや水虫などでも起こりうる。少し時間がかかるが、やはり飲み薬でかゆみを抑え、塗り薬を併用する。放置した時間が長いほど、治療にも時間がかかる。風邪は、早く薬を飲めば早く治るというものではないが、皮膚の炎症の治療は、早めに開始した方が治りは早い。

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常喜 眞理(じょうき・まり)

 家庭医、医学博士
 1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医。院長を務める常喜医院(内科、皮膚科)での診療のほか、慈恵医大新橋健診センターでは診療医長として健康診断(人間ドック)の内科診察を行い、婦人科や乳腺外科の診断を担当する。様々な大手企業の産業医でもあり、職場におけるメンタルヘルスのサポートを長年行っている。著書に「オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方」(すばる舎)。現在、BS-TBS「Together」に準レギュラー出演中。

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