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なぜ台湾は新型コロナの市中感染を防げたのか…マスクと八つの「新しい生活スタイル」

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蔡小瑛 梅花女子大学准教授

 台湾政府は7日、新型コロナウイルスの封じ込めにめどを付けたとして、感染予防の一環として義務付けていたイベントなどの入場制限を解除した。台湾は当初から都市封鎖(ロックダウン)や外出制限といった強制的な措置は取らず、行動を自主規制するように指導してきた。その結果、8日現在で感染者は443人、隔離解除は430人で、死者は7人にとどまり、長期間にわたって新たな感染者が出ていないことから、現在は段階的に通常の暮らしに戻るよう呼び掛けている。この台湾の「成功」から、何が学べるのだろうか。

マスクの実名制管理販売を導入

なぜ台湾は新型コロナの市中感染を防げたのか…マスクとは、八つの「新しい生活スタイル」

ウイルスのキャリア(左)から健常者(右)への感染率は、お互いにマスクを使うかどうかで変わる。両者がマスクを着用することによって、感染率はかなり軽減することができる

 2020年1月20日頃、台湾でも、薬局やコンビニからマスクが消え始めた。これに対し、政府は、ほぼ同時に医療用マスクの輸出を禁止。さらに、マスクの徴収令で工場の在庫を買い上げ、各社の技術者を集めたボランティア中心の「国家チーム」を作って増産を図った。そのうえで、マスクの実名制管理販売を導入した。国民健康保険カードのIDナンバーを端末に差すことでマスクが買えるシステムで、日本でも報道されたためご存じの方も多いかと思う。

 市中感染が広がるのを防いだ台湾CDC(疾病管制署)の指揮官・陳時中氏は、8割の人がマスクを着用する現状を見て、「もう安心だ」と語った。もちろん、「マスクをしていれば、ウイルス対策は大丈夫」という安易な考えは危険だが、東アジア圏で新型コロナウイルス感染者が比較的少ない地域では、マスクの着用率が高いことも分かっている。マスクの感染防止効果が疑問視され、一時は各国で論議の的になったが、台湾の人々はマスク着用を欠かさなかったのだ。

マスク着用は「新しい生活様式」の一つ

 感染の拡大を防止するため、台湾CDCは次の八つの新しい生活スタイルを推奨している。

  • #頻繁に石けんをつかった手洗い
  • #目や口や鼻を手で触らない
  • (せき)エチケット
  • #使用済みマスクの正しい捨て方
  • #ソーシャルディスタンスを守る、できない場合はマスク着用
  • #実名制のイベント参加
  • #体調に合わせた在宅休養・診療を受ける
  • #前向き防疫(親切、寛容、差別しない、正直に申告)

 どんなに接触感染を意識していても、飛沫感染は個人の意識だけでは完全に避けることができない。ここでも、マスク着用は「新しい生活様式」の一つに位置付けられている。

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