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[すこやかカフェ]大人のニキビ 規則正しい生活で予防を
ニキビといえば思春期のイメージだが、成人後も悩む人がいる。「ニキビぐらいで」と受診をためらっていると、痕が残ることもある。治療法や日頃のスキンケアについて専門医に聞いた。
過度な洗顔も原因に
福岡市中央区の会社員女性(30)は、中学生の頃、ニキビに悩まされた。「大人になればなくなる」と思っていたが、今もストレスを感じる時や月経前にできる。化粧でも隠しきれず、「これからも付き合うしかないのか」と嘆く。
ニキビは、皮脂が過剰に分泌されて毛穴の出口が詰まり、中にたまってできる。皮脂が毛穴に詰まった状態を「面ぽう」「コメド」と呼び、面ぽうの内部で常在菌のアクネ菌が増殖して炎症が起きると「赤ニキビ」や 膿 を持ったニキビになる。
皮膚科専門医で、「しおりクリニック」(福岡市西区)の加藤しおり院長によると、思春期のニキビは、男女とも成長期に急増する男性ホルモンの働きで皮脂の分泌が活発になることが原因で、額と鼻の「Tゾーン」に出やすい。一方、大人のニキビは不規則な生活や乾燥肌など様々な原因が考えられ、皮脂の分泌が少ない頬からあごにかけての「Uゾーン」にできることが多い。
特に女性の場合、月経前にホルモンバランスが変化する影響で一時的にできやすくなる。また、化粧で毛穴が詰まったり、過度な洗顔で肌を守る「バリア機能」が低下したりすることが原因となるケースもある。
塗り薬、適切に使用を
医学的な正式名称は「尋常性ザ 瘡 」。日本皮膚科学会の「尋常性ザ瘡治療ガイドライン」の作成に携わった福岡市早良区の福岡歯科大医科歯科総合病院皮膚科の古村南夫教授=写真=によると、中高生の時にニキビができた人のうち、成人男性の約40%、成人女性の約60%に思春期後もニキビができるというデータがある。女性の場合は成人後に新しくできる人も一定程度いるという。
ガイドラインで推奨されるのは塗り薬で、毛穴の詰まりを改善させる「アダパレン」と、アクネ菌などを殺菌する「過酸化ベンゾイル」が中心。体質に応じて漢方薬も処方される。ただ、アダパレンは使用中、皮膚に刺激症状が表れることが多く、過酸化ベンゾイルも30人に1人の割合で強い赤みや腫れなどのかぶれが生じるため、医師と相談しながら少しずつ慣らしていく必要がある。
薬を塗り始めて3か月程度で炎症は収まるが、一見きれいになっても、目に見えない微小な面ぽうをなくすためには治療を続けることが大切だ。古村教授は「顔のニキビはQOL(生活の質)の低下に直結する。小さくても、後々痕にならないように早めに受診してほしい」と呼びかけている。(佐藤陽)
<日頃のスキンケアと、ニキビを悪化させないライフスタイル>
- 洗顔は朝晩1日2回がおすすめ。低刺激性の洗顔料をしっかり泡立てて、手でやさしく洗う。メイクは帰宅後、すぐに落とす
- 衣服や髪の毛が刺激になって悪化することもあるので、ニキビにあたらないようにする。枕カバーも清潔に
- 化粧品はニキビ肌用に処方された「ノンコメドジェニック」の製品や油性成分が少ないものを使う。赤ニキビが気になる場合はグリーン系、色素沈着にはイエロー系の化粧下地がおすすめ
- バランスの良い食生活と十分な睡眠を心がけ、ストレスや疲れをためない
(加藤院長と古村教授への取材に基づく)
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