教えて!ヨミドック
医療・健康・介護のニュース・解説
カビが生えた食べ物、大丈夫?
他の細菌も繁殖、体に毒
Q パンにカビが生えたけど、そこだけ取り除いて食べちゃおう。
ヨミドック 何ですって? カビが見えない部分にも菌糸が広がっている可能性があります。カビが生えた食べ物には、カビ以外の細菌も繁殖していることがありますよ。
Q 大腸菌のような細菌は食中毒を起こすんでしょ。カビも体に毒なの?
ヨ 病原体になり得る微生物は主に、細菌、真菌、ウイルス、原虫の四つがあります。カビは真菌です。細胞構造が異なる細菌とは別の生物ですが、アレルギーや食中毒を起こしたり、長期間とり続けるとがんになるものもあります。
ジャムなど糖分を好むタイプ、卵、魚や肉などたんぱく質を好むタイプ、チーズやバターの脂質を分解するタイプのカビがいます。
Q カビの生えたお餅、食べた記憶があるんだ……。
ヨ 食べても症状が出ないことが多いのです。もし腹痛や下痢などの症状が出たら、スポーツドリンクなどで水分を補給して休むこと。症状が重い場合は、医療機関を受診した方が良いでしょう。
Q カビって悪いヤツだね。
ヨ 細菌を攻撃する抗菌薬の原料や、植物の成長を促す物質はカビから生み出されました。お酒やパン作りなどに欠かせない酵母やキノコもカビの仲間。役に立っています。
Q いつの間にか生えている。どうやって増えるの?
ヨ 空中に漂うカビの胞子が食べ物などに付くと、それを栄養に芽を出し、菌糸を伸ばして増えます。成長すると胞子を飛ばして、他の食べ物などに付きます。温度が20~30度、湿度が80~100%の高温多湿を好みます。梅雨時はカビの天国です。
Q カビを防ぐには?
ヨ 温度が10度以下、湿度が60%以下で繁殖を抑えられますが、死滅させられるわけではありません。焼いても安心できませんよ。カビは熱で死滅しますが、毒素が残ってしまうこともあります。
食べ物は、冷蔵庫で長期に保管するよりも早めに食べる方が良いでしょう。
(原隆也/取材協力=高鳥美奈子・NPO法人カビ相談センター主幹、川島彰人・新百合ヶ丘総合病院総合診療科部長)
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