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新型コロナ 喫煙で重症化…禁煙は「感染対策」

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 たばこを吸う人は、新型コロナウイルスにかかると重症化しやすいとの研究結果が相次いで報告され、専門家も禁煙を呼びかけている。今年4月には、望まない受動喫煙を減らすための法律も全面的に施行された。喫煙がもたらすリスクと禁煙の重要性を改めて考える。(加納昭彦)

新型コロナ 喫煙で重症化…禁煙は「感染対策」

  高まる死亡率

 喫煙歴が30年を超える神奈川県の会社員の男性(58)は、4月から禁煙治療を受けている。階段を上る時の息切れが激しくなり始めたことに加え、愛煙家で知られたコメディアンの志村けんさんが新型コロナウイルスに感染して亡くなり、ショックを受けたという。男性は「たばこが悪い影響を与えたのかもしれない。これを機にやめたい」と語る。

 禁煙外来で診療する中央内科クリニック(東京)院長の村松弘康さんは「喫煙は、新型コロナウイルス感染症を重症化させ、死亡率も高める」と強調する。

 村松さんが注目するのは、中国の研究チームが2月、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表した報告だ。中国の患者1099人のうち重症化した人を分析すると、以前吸っていた人も含めた喫煙者は24%で、たばこを吸わない人の14・5%と比べて1・7倍高かった。集中治療室(ICU)に入ったり、死亡したりした割合も3倍だった。

 新型ウイルスは、「ACE2」と呼ばれる特定のたんぱく質に取り付き、そこから侵入することがわかっている。欧州連合(EU)の疾病予防管理センターは、喫煙者の肺ではACE2の働きが活発化すると指摘している。たばこのリスクに詳しいワーカーズクリニック銀座(東京)院長の石沢哲郎さんは「ウイルスの感染経路が広がるため、重症化する確率も高くなるのではないか」とみる。

 世界保健機関(WHO)は「喫煙は新型ウイルス感染症の重症化の危険性を高める」と注意を促し、日本禁煙学会や日本禁煙科学会も感染対策として禁煙が重要との見解を示している。

  病気リスク増

 喫煙は、新型コロナウイルスの感染以外にも様々な病気のリスクを高めることが知られている。国立がん研究センターによると、たばこを吸う人は、がんや脳卒中、虚血性心疾患、糖尿病などにかかりやすい。さらに、煙を吸った周囲の人も、肺がんや脳卒中などを発病する恐れがある。

 こうした科学的な根拠の蓄積をふまえ、たばこを巡る規制は強まっている。4月に全面施行された改正健康増進法で、病院などは屋内で完全禁煙。規模の大きな飲食店などの屋内でも、原則禁煙になった。

 禁煙しやすい環境も整ってきた。たばこをやめられないニコチン依存症の人を対象にした禁煙治療について、厚生労働省は4月から、スマートフォンなどを使ったオンライン診療でも公的医療保険が適用されるようになった。ただし、初回に呼気テストを受けるなど、対面診療と組み合わせることが条件になる。

 日本禁煙科学会理事長で、京都大特任教授の高橋裕子さんは「新型ウイルスや法改正で、禁煙の重要性はさらに高まっている。たばこを吸っている人はぜひチャレンジしてほしい」と話す。

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