今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」
医療・健康・介護のコラム
食事を変えてもアトピーが治らないのはなぜ?
8歳の女の子がアトピー性皮膚炎で受診してきました。ご両親はとても治療に積極的です。いろいろな病院を受診し、アドバイスを受けて実践しており、なかでも食事内容に関してはよく考えていました。卵アレルギーがありましたから、除去するのはもちろん、無農薬、無添加の食材、そして砂糖を使うような食品をなるべくとらないようにするなどです。
それでも、なかなか皮膚の状態が良くならないとのことで今回の受診となりました。どこに問題があるのでしょうか? 上流医療の観点から考えてみます。
どうやって食べていますか?
食事を変えるのはとても良いことですね。子どもの時に獲得した食生活習慣や味覚は成長しても続きます。これも命の入り口を考えた立派な上流医療と言えます。
さて、お母さんに「今日のおやつは何ですか」と尋ねると、「かつお節です」という答えが返ってきました。おやつにしては素晴らしいチョイス! かつお節に含まれるイノシン酸などのうま味成分により唾液も出ます。普段の食生活の一端を垣間見ることができます。
では、「どうやって食べていますか」と尋ねると、すぐに答えが返ってきません。食べものの質については情報もあふれていますから、皆さん、気にするのですが、「食べ方」の把握までしている家庭は少数です。この食べ方が今回の上流医療です。
「捕食」せずに「咀嚼」していた
子どもの食べ方の観察には、スプーンに載せた食事の食べ方を見ます。
1)口の中にスプーンが入ってから口を閉じる。
2)上唇で食事をとろうとする。
さて、この子の場合は1)でした。
写真を見ると、口を大きく開けたまま、スプーンの方へ頭を移動させようとしています。食べるという動作は、歯でかむ「 咀嚼 」の前に「捕食」という動作が必要です。唇をつかって、口の中に食物を取り込むのです。食物を口の中に放り込んだり、スプーンを口の奥まで入れ込んだりすると、捕食をすることなく、咀嚼動作に移ってしまいます。もしかしたら、唇をあまり使っていないのかもしれません。
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