今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」
医療・健康・介護のコラム
食事を変えてもアトピーが治らないのはなぜ?
「吹き戻し」 まったく伸びない
唇の機能を簡単にチェックするのに、おもちゃの「吹き戻し」を使います。これも立派な診察器具なんですよ。さて、吹き戻しをさせるとまったく伸びません。唇をしっかりと閉じることができずに、横から空気が漏れてしまっています。これでは、空気を送り込むことができません。やはり、口の機能が衰えていることがうかがえます。
ポカン口…口腔機能発達不全症
原因となる疾患がなく、お子さんのかむ、飲む、しゃべるなどの機能が十分に発達していない状態を小児 口腔 機能発達不全症といいます。この子も口腔機能発達不全状態と言えるでしょう。気になる場合は小児歯科で詳しく診察してもらえます。もちろん、口呼吸も口腔機能発達不全症の症状の一つです。
この子の場合は、口がポカンと開いてしまって「口呼吸状態」になってしまっていたんですね。口呼吸とは、何もいつも口で息をするだけではありません。ポカン口も口呼吸の一つの形なんです。普段は口を閉じておくと、口の中は唾液で潤い,冷えることなくきれいな状態を保つことができます。ところが、ポカンと開いた状態では唾液の乾燥により口臭がしたり、きちんと歯を磨いているのに歯肉炎になったりします。
ポカン口を治すために、スプーンの使い方など食事の取り方を変えることや、吹き戻しや風船をうまく使えるようになることなどを目指します。それが皮膚の状態を改善することにつながります。
口を鍛えて2か月 肌の調子もよく
さて「あいうべ体操」をして、食事の内容はそのままに、お箸やスプーンの使い方を伝えました。2か月後、どうなっていたでしょうか。
見て下さい、この堂々とした吹き戻し。唇をきちんと閉じてピーンと伸びていますし、連続して伸ばすことができるようになっていました。どこか誇らしげな感じもしますね。そして、懸案だったお肌の調子も良くなったのです。それまでのご家族での取り組みの土台があったからこそ、結果が出たのですね。
この吹き戻しは、高齢者のリハビリ用としても専用のものがありますし、いろいろなタイプのものが市販されています。活用してはいかがでしょうか。その他、風船など口を使うおもちゃを活用するのも良い方法です。お試し下さい。(今井一彰 「みらいクリニック」院長・内科医)
※岡山大学病院歯学部スペシャルニーズ歯科診療講師、岡崎好秀先生から助言を賜りました。ありがとうございます。
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