今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」
医療・健康・介護のコラム
歯並びは気管支ぜんそくにも関係している!?
口呼吸があると、気管支ぜんそくを発症しやすくなります。さて、あなたは口呼吸なのでしょうか。実は多くの人が、自分が鼻と口のどちらで呼吸をしているのか、意識していません。ですから外来で患者さんに尋ねると「私はいつも鼻呼吸です」という答えが返ってきます。
「たかが口呼吸」と軽視されがち
そして医師にも、口呼吸が心身状態を害するという知識が普及していませんから、「たかが口で息をするくらいで、いろんな病気になるものか」という思いを持つ人が依然として多いのが実情です。病気の根っこに口呼吸があったとしても、見落とされてしまいます。
これまでの様々な研究を見ていくと、口呼吸をしている人の割合は50~70%にも上ることが分かります。ところが自分自身や家族が口呼吸をしているのか、という調査方式では、その割合が20%前後に落ちてしまいます。当院外来でも口呼吸状態の人は7割を超えています。もちろん治療のために来院しているのですから、高率になるのは当たり前なのですが、海外の小学生の調査でも70%を超えるものもあるのです。思った以上に口呼吸の人は多いものです。
歯並びでわかる口呼吸の有無
さて、この口呼吸の見分け方の一つに、歯並びがあります。口呼吸があると歯並びが悪くなるのは動物実験でも証明されていますが、最近のお子さんには、特にその傾向が顕著なようです。軟らかい食事や会話の減少など、いろいろな原因が考えられます。
医療機関では、気管支ぜんそくの治療は、気管支の炎症状態を抑える吸入薬などを終生使い続けることによってコントロールしていくと説明を受けます。1990年代前半は年間6000人ほどが気管支ぜんそくで亡くなっていましたが、現在では1500人程度と激減している事実を見ても、治療法の進歩が貢献していることが分かります。とはいえ「何とか薬をやめたい」という思いを持つのも人情です。
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