中川恵一「がんの話をしよう」
医療・健康・介護のコラム
顔が赤くなるのは発がん性物質のせい…軽視されるアルコールのリスク 「巣ごもり飲酒」に注意
「アジアン・フラッシュ」は一種のマーカー
日本は飲酒に寛大な社会です。電車のなかで泥酔して眠りこけている会社員など、欧米ではまずお目にかかったことがありません。そもそも、白人はお酒が強い人がほとんどで、飲んで顔が赤くなる人はまずいません。アルコールで顔が赤くなる現象は、東洋人だけに見られるので、英語では「アジアン・フラッシュ」と呼ばれます。世界人口の約8%がこのタイプとみられています。
お酒に含まれるエタノールは、肝臓で「アセトアルデヒド」に分解されます。エタノールは消毒に使われるくらいですから、毒性はありません。しかし、アセトアルデヒドには発がん性があります。アセトアルデヒドは酵素により酢酸に分解されますが、東洋人のおよそ4割は、この酵素の遺伝子に変異を持っているのです。飲んで顔が赤くなるのは、発がん性物質が体内にたまっていることを示す一種の「マーカー」なのです。
「巣ごもり飲酒」にはくれぐれもご用心。とくに喫煙と飲酒が重なると、発がんリスクは一気に高くなります。感染予防のために自粛生活をしても、がんが増えては元も子もありません。(中川恵一 麻酔科医)
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