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中川恵一「がんの話をしよう」

医療・健康・介護のコラム

顔が赤くなるのは発がん性物質のせい…軽視されるアルコールのリスク 「巣ごもり飲酒」に注意

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「アジアン・フラッシュ」は一種のマーカー

 日本は飲酒に寛大な社会です。電車のなかで泥酔して眠りこけている会社員など、欧米ではまずお目にかかったことがありません。そもそも、白人はお酒が強い人がほとんどで、飲んで顔が赤くなる人はまずいません。アルコールで顔が赤くなる現象は、東洋人だけに見られるので、英語では「アジアン・フラッシュ」と呼ばれます。世界人口の約8%がこのタイプとみられています。

 お酒に含まれるエタノールは、肝臓で「アセトアルデヒド」に分解されます。エタノールは消毒に使われるくらいですから、毒性はありません。しかし、アセトアルデヒドには発がん性があります。アセトアルデヒドは酵素により酢酸に分解されますが、東洋人のおよそ4割は、この酵素の遺伝子に変異を持っているのです。飲んで顔が赤くなるのは、発がん性物質が体内にたまっていることを示す一種の「マーカー」なのです。

 「巣ごもり飲酒」にはくれぐれもご用心。とくに喫煙と飲酒が重なると、発がんリスクは一気に高くなります。感染予防のために自粛生活をしても、がんが増えては元も子もありません。(中川恵一 麻酔科医)

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中川 恵一(なかがわ・けいいち)

 東京大学大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。
 1985年、東京大学医学部医学科卒業後、同学部放射線医学教室入局。スイスPaul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、社会保険中央総合病院(当時)放射線科、東京大学医学部放射線医学教室助手、専任講師、准教授を経て、現職。2003~14年、同医学部附属病院緩和ケア診療部長を兼任。患者・一般向けの啓発活動も行い、福島第一原発の事故後は、飯舘村など福島支援も行っている。

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