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中川恵一「がんの話をしよう」

医療・健康・介護のコラム

顔が赤くなるのは発がん性物質のせい…軽視されるアルコールのリスク 「巣ごもり飲酒」に注意

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 アメリカのトランプ大統領は4月23日の記者会見で、新型コロナウイルス感染に関連して「消毒液を注射してみてはどうか」などと発言し、波紋を呼びました。

 海外では、飲酒でウイルスを殺菌できる、あるいは免疫力がつくといった誤った情報も出回りました。世界保健機関(WHO)は、「アルコールを摂取しても新ウイルスから身を守ることはできず、ウイルスを除去することもできない」として、飲酒を控えるよう呼びかけています。また、「飲みすぎれば免疫力が弱まって、ウイルスから身を守る能力が減退する可能性がある」とも指摘しています。

たばこに次ぐ第2位の発がん要因

 新型コロナウイルスの拡大にともない、「巣ごもり飲酒」が問題になっています。家庭向けの一部のアルコール飲料は、消費が前年より増えたといいます。アメリカの調査では、3人に1人が「在宅勤務中に飲酒する」と答えていますから、驚きます。

 こうした傾向は、がん予防の面でも問題です。飲酒は、たばこに次ぐ第2位の発がん要因で、食道がん、 咽頭(いんとう) がん、肝臓がん、大腸がんなどのリスクを確実に高めます。お酒が「百薬の長」になるのは、せいぜい1合まで。最近では、わずかな量でも発がんのリスクを高めるという研究結果も出ています。飲酒は、多くの日本人が考えているより、はるかに大きな健康リスクです。

 緊急事態宣言は解除されましたが、在宅勤務を継続する人は少なくないでしょう。巣ごもり飲酒には、今後も注意が必要です。

日本人の「リスク感覚」はズレている

 一般女性に、生活上のリスクの大きさを順位づけしてもらった調査があります。そこでは、日本人の「リスク感覚」のズレが明らかになりました。

 一般女性が最もリスクを感じていたのは原発で、2位はピストル、3位は食品保存料でした。たばこは8位、お酒は21位と、「圏外」に位置づけられていました。しかし、実際のリスクは、たばこが断然トップで、お酒が2位、3位は車の運転です。なお、食品保存料は27位で、一般に思われているほどのリスクはありません。

 たばこが、がんの原因のトップで、間接喫煙でもがんを増やすことはずいぶん知られるようになりましたが、飲酒のリスクの方は明らかに軽く見られています。

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中川 恵一(なかがわ・けいいち)

 東京大学医学部附属病院放射線科准教授、放射線治療部門長。
 1985年、東京大学医学部医学科卒業後、同学部放射線医学教室入局。スイスPaul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、社会保険中央総合病院(当時)放射線科、東京大学医学部放射線医学教室助手、専任講師を経て、現職。2003~14年、同医学部附属病院緩和ケア診療部長を兼任。患者・一般向けの啓発活動も行い、福島第一原発の事故後は、飯舘村など福島支援も行っている。

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