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アラサー目前! 自閉症の息子と父の備忘録 梅崎正直

医療・健康・介護のコラム

「この子に障害がなかったら一緒にしたかったこと」をすればいい…背中を押され山へ

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 夏山シーズン近し……といっても、新型コロナへの不安から逃れられない今、登山道の人出にも影響があるのではないだろうか。洋介が小学校5~6年生の頃だったか、毎月のように、一緒に山に登っていた時期があった。

他の登山者のペットボトルをラッパ飲み!…親子で山に挑んだワケ

イラスト:森谷満美子

次男のためにと始めたが

 放っておくと、危険なこともしかねない洋介の後を追いかける日々が続くなかで、2歳下の次男とは、ちゃんと向き合う時間がないことを気にしていた。本人はそれに不平を言うわけでもなく、その代わりといっていいのか、ポケモンなど流行のゲームソフトを欲しがることが多かった。要求することで、親の愛情を確かめていたのかもしれない。僕らも、次男に対してはすまなく思う気持ちがあり、つい買い与えがちだった。しかし、それでは……と、思い立ったのが、月に1回、次男だけを連れて、2人で山に登ることだった。

 ところが、2度ほど登った後、1歳にならない長女の世話に忙しかった妻から、「洋介も連れて行って!」と強い要求があったため、その次からは、洋介も連れ、3人で登ることになった。次男には悪いが、結局、こういうことになるのだ。

 とはいえ、洋介がどこまで登れるのかは未知数。まずは、車でかなり山頂近くまで行ける群馬の赤城山を選んだ。登山口から約1時間半の直登。こちらの心配をよそに、洋介は楽々と登っていった。

山ではみんな寛容になる

乗鞍岳山頂にて。洋介(右)と次男

 わかったのは、僕らは山にいる時、とても気楽だということだった。街中なら、いつも「小さな子にぶつからないか」「パニックにならないか」「大きな声で迷惑をかけないか」……などと考えるのだが、山では、そこまで人と人の距離が近くないし、大空の下では、人の気持ちも寛容になるようだ。

 そんなことを感じながら、山頂で一休みしていると、洋介がペットボトルをラッパ飲みしようとしているのが目に入った。しかし、僕らが持ってきたものではない。そばにいた他の登山者のリュックのポケットに差してあったお茶のペットボトルを、取って飲もうとしていたのだ!

 これが洋介の初登山で、その後、低山を中心に、富士山が間近に見える三ツ峠山(山梨県)や、真夏にはバスでかなり高い場所までいける北アルプスの乗鞍岳(岐阜県、長野県)など。慣れてきた頃には、頑張って山梨の ()()()()(たけ) (標高2475メートル)にも登った。比較的楽な千曲川源流からのコースで標高差は約1000メートル、一般の所要時間は4時間のところ、多分、7時間ほどかかったが、その夜、テントから見上げた星空は圧巻だった。

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梅崎正直(うめざき・まさなお)

ヨミドクター編集長
 1966年、北九州市生まれ。90年入社。その年、信州大学病院で始まった生体肝移植手術の取材を担当。95年、週刊読売編集部に移り、13年にわたって雑誌編集に携わった。社会保障部、生活教育部(大阪本社)などを経て、2017年からヨミドクター。

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