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山中龍宏「子どもを守る」

医療・健康・介護のコラム

【番外・ペット編】誤飲事故の8割は犬 えさ状の殺虫剤、チョコレートも危険…猫は容器入り液体に注意!

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ペットの誤飲データは、子どもとほとんど同じ

 犬に比べ、猫の誤飲件数が少ない理由として、猫はにおいが変わっただけでペットフードを食べなくなるなど、「慎重」「疑り深い」「変化が苦手」といった傾向があり、好奇心が旺盛な犬と比べ、誤飲が少ないのではないかと考えられています。犬では経口の誤飲がほとんどで、食べ物の匂いに誘われるケースが多いとされています。一方、猫では、固形の製品より、液体製品の誤飲が多く、液体が入った容器は猫にとって、「手を出したくなる」ものだとも指摘されています。また猫では、身体や足に付着したものを入念になめるグルーミングによって、経皮的な 曝露(ばくろ) もみられます。

 最近では、家の中で飼われるペットが多くなり、それに伴って誤飲も起こりやすくなっていると思われます。ペットの誤飲のデータは、子どもの誤飲のデータとほとんど同じでびっくりしてしまいます。どちらも、同じ環境下で、同じ行動特性を持っているので、同じような誤飲が発生することになるのです。

 唯一の違いは、子どもの誤飲では、問い合わせの受信時に何らかの症状が見られたのが5~7%ですが、ペットの場合は、約半数に症状が見られています。これは、ペットの場合、症状が見られてから問い合わせをすることが多いためと思われます。

散歩中は植物を口にしないよう注意

 ペットの誤飲の予防は、乳幼児の誤飲とほとんど同じです。日本中毒情報センターから、犬の「 中毒事故防止のためのチェックリスト 」が公開されています。

そのチェックリストを見ると、

  • 薬や健康食品を犬の近くで服用しない。服用時に落とさないよう注意している
  • チョコレート、キシリトール、ブドウ、タマネギなどの入った食品を与えない
  • 落ちた(植物の)実はすぐに片付け、ベランダや庭に植えた植物を犬が食べないように注意している
  • 散歩中は落ちているものや植物を口にしないように、犬の行動に気を配る

 などが指摘されています。猫に関しては、「イヌ用のノミ・マダニ駆除用製品を猫に使用しない」「猫の行動範囲内に、ユリを飾ったり、植えたりしない」といったことが大切です。

 チェックリストは15年から公開されていますが、誤飲の問い合わせ件数に変化はみられません。この点も子どもの誤飲と同じです。飼い主に「誤飲には十分注意して」と言っても、チェックリストの項目を確実に実行することは不可能なのです。やはり、子どもの誤飲に対するのと同じように、今後は、「犬や猫から目を離しても安全な製品や環境を整備する」ことが必要なのです。(山中龍宏 緑園こどもクリニック院長)

参考文献:
  • 竹内明子、他:日本中毒情報センターで受信したイヌ、ネコの急性中毒に関する検討。中毒研究 32:445-450,2019

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山中 龍宏(やまなか・たつひろ)

 小児科医歴45年。1985年9月、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取みとったことから事故予防に取り組み始めた。現在、緑園こどもクリニック(横浜市泉区)院長。NPO法人Safe Kids Japan理事長。産業技術総合研究所人工知能研究センター外来研究員、キッズデザイン賞副審査委員長、内閣府教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員も務める。

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