一病息災
闘病記
[ジャズピアニスト 国府弘子さん]心筋梗塞(こうそく)(4)「60歳の警告」生活見直す
後になって考えると、思い当たる病気の予兆がないこともなかった。発症の半年ほど前から、「ピアニカ」( 鍵盤 付きハーモニカの商品名)を吹くと、息苦しさを覚えていた。
「年齢のせいで片付けられやすい世代なので、深刻には考えませんでした」
数日前からは、腰の痛み、原因不明のせきも続いていた。それが心筋梗塞のサインだったのかはわからないが、新譜のレコーディングやイベント、コンサートが続いたため、体調を軽視していたことは間違いない。
「プレッシャーもストレスもあったとは思います。でも、自分にとっては、楽しい仕事ばかりだったので、自覚はありませんでした」
退院時に、医師から「血液がドロドロ」と指摘された。遺伝的なものなのか、自分だけでなく、母親も姉もスリムな体形ながら、コレステロール値は高めだ。
食生活の乱れも自覚している。お酒は飲むし、揚げ物も好き。さらに、高コレステロール食品とされる魚卵には目がない。病気後は、大好物の明太子もできるだけ控え、クルマ中心の生活を改めて、積極的に歩くようになった。
「ちょっとお騒がせしたけれど、60歳になるときに、警告を受けたのはラッキーだったな、と思います。これからは、本当に一病息災でいかなくちゃ、ですね」
(文・染谷一、写真・萩本朋子)
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国府弘子さん(60) ジャズピアニスト