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立場弱い「フリーランス」苦境、地域・業種を超えて情報共有

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 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、企業に雇用されずに働くフリーランスたちが苦境に立たされている。仕事のキャンセルが相次いでいるが、企業と比べると行政の支援は限定的だ。地域や業種を超えて、情報共有のための勉強会を開き、事業継続を模索する動きが始まっている。(峰啓)

フリーランスを対象にウェブ会議システムで勉強会を開く安部さん(14日、福岡市中央区で)=久保敏郎撮影

 緊急事態宣言が39県で解除された14日夜、福岡や熊本が拠点のグラフィックデザイナーやエンジニア、バンドマンら約10人が参加し、ウェブ会議システムによる勉強会が開かれた。

 「国の支援制度に必要な書類作成が煩雑で、何から始めていいか分からない」「生活費に困っており、アルバイトを探している」。参加者は次々に質問し、税理士や雇用の専門家らが国の支援制度などを説明した。

 説明の後には意見交換も行われ、参加者たちは「融資を受けたいなら、銀行の担当者を紹介できる」「行政の支援には先着順で締め切られるものもあり、注意が必要」などと、協力し合う姿勢を見せた。

 勉強会は、福岡市のマーケティング会社経営、安部謙太郎さん(34)が企画。フリーランスの知人から「悩みや相談を持ちかける相手がいない」と聞き、「必要な情報が届いていない」と感じた。参加無料の勉強会は4月に続き2回目。勉強会の内容や、支援制度を利用する際の条件をSNSで公開した。安部さんは「参加希望の声が相次ぐなど反響は想像以上。事業継続のきっかけをつかんでもらうため、今後も定期的に開きたい」と話す。

■収入途絶える

 フリーランスは一般的に立場が弱く、一方的にキャンセルされても費用を請求できないこともある。口約束で契約書を交わさないことも珍しくないという。

 「キャンセル続きで収入がゼロになった」。勉強会に参加した熊本県阿蘇市の映像ディレクター(38)は企業の製品PRや自治体の観光地紹介の映像を受注してきたが、3月以降、15件ほどの仕事が中止や延期になった。

 4年前に地元に戻り、昨年、ようやく仕事が軌道に乗り始めた。2月には東京から妻(36)を呼び寄せたばかり。同居する祖母(90)と父(69)の生活も支えなければならない。勉強会の後、金融機関に融資を申し込み、国の「持続化給付金」を申請することにした。ただ、「収束後、以前のように仕事があるのか」と不安を口にする。

 行政の依頼を受けた創業支援や企業のイベント企画などを行う福岡県八女市のプランナー(36)も2月下旬から仕事が減り始め、収入は3分の1に激減。テレワークで対応できる仕事は続けているが、「人と会って打ち合わせをするのが基本。その前提が崩れた」と語る。

 昨年2月にフリーランスとして働き始め、少しずつ仕事が増えていたが、「貯蓄はほとんど取り崩した。耐え忍ぶしかない」。

■労働法制の枠外

 内閣府は国内のフリーランスを300万人以上と推計。感染防止のため休業した場合、会社員は賃金の6割以上を受給できる休業手当があるが、フリーランスにはない。子供の休校などで休業しても、会社員なら勤務先に日額最大8330円が支払われるが、フリーランスは同4100円にとどまる。

 労災保険に原則加入できず、休業補償の対象にもならない。最低賃金や労働時間を定める労働法制の枠外だ。勉強会で相談を受ける公認会計士の大津留孝明さん(41)は「フリーランスは自由度が高い分、逆風を受けやすい。新たな働き方が広がる中、どうセーフティーネットを設けていくのか社会全体で議論すべきだ」と指摘する。

自治体 独自助成も…福岡県 最大25万円

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国は持続化給付金を創設した。1か月の売上高が前年同月比で50%以上減少した中小企業に最大200万円、フリーランスを含む個人事業主に同100万円を給付する。経済産業省によると、21日時点の申請は110万件を超えた。振り込み済みは約40・6万件、総額約5230億円に上る。

 独自に支援制度を設けた自治体もある。福岡県は売上高が前年同月比30%以上50%未満減少したフリーランスらに最大25万円を助成し、北九州市はさらに一律10万円上乗せする。

 熊本県も同30%以上50%未満減った人に最大10万円を支給。1~4月に創業した人も対象で、売上高が落ちた月と前月までを比較する。

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