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アラサー目前! 自閉症の息子と父の備忘録 梅崎正直

医療・健康・介護のコラム

10年続いた「ツバ飛ばし」は職人芸!?…「こだわり」にどう向き合うか

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「キラキラが好き」「マークに興味」

節分かな? 涼しい顔で、いろんなことをしました

節分かな? 涼しい顔で、いろんなことをしました

 よく自閉症の子どもの傾向として挙げられる傾向に、コマとか、散髪屋さんの前にあるサインポールとか、「回っているものが好き」ということがある。また、自分がクルクル回るとか。そんな傾向にわが子が当てはまるか、当てはまらないかで、一喜一憂する両親は少なくないと思う。洋介の場合は、そうした「典型的」なものは、あったり、なかったりだった。

 当てはまったものは、「キラキラしたものが好き」「マークに興味がある」「手のひらを自分に向けてバイバイする」「欲しいものには、人の手を持っていく」「おもちゃを自分の目の高さで眺める」など。しかし、「つま先立ちになる」とか「手をひらひらさせる」とかは、あまり記憶にない。回転するものは好きだったが、自分がクルクル回ることはなかった。目線もよく合った。

 そういう状態だったため、洋介が自閉症であることを受け入れられない時期もあったのだが、今思うとただ一つ、「通常の発達とは何かが違う」という感触はどこかにあって、否定することができなかった。

明けない夜はない…と言いたいが

 小学校時代はストレスがあったのか、頭を自分でたたいたり、傷のかさぶたをはいだりと、自傷傾向がみられた時期もあり、朝には顔が血だらけだったこともある。つば飛ばしには長く悩まされ (へき)(えき) したが、わが子が血だらけになることに比べれば、まだましだ。毎朝、うんちだらけになっていたとしても、あの赤黒い顔を思いだせば、気が楽に思える。逆に、自傷の多い子の親御さんは、ほんとに大変だと思う。

 問題行動が一向に治まらなかったりすると、親はそのことで頭がいっぱいになって、煮詰まってしまうけど、障害の程度では最重度とされている洋介の26年間を振り返ると、あえて「明けない夜はない」……と言ってもいい気がする。新たな問題が起きた時、周囲は困るけど、それまで大変だった問題はいつの間にか解消していたり。

 というわけで、わが家もやっと部分的なリフォームができたところ。ただ、最近になって、また「ツバ!」とつぶやくこともあり、ビクついてしまうのだが……。(梅崎正直 ヨミドクター編集長)

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umezaki_masanao_prof

梅崎正直(うめざき・まさなお)

ヨミドクター編集長
 1966年、北九州市生まれ。90年入社。その年、信州大学病院で始まった生体肝移植手術の取材を担当。95年、週刊読売編集部に移り、13年にわたって雑誌編集に携わった。社会保障部、生活教育部(大阪本社)などを経て、2017年からヨミドクター。

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