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Dr.三島の「眠ってトクする最新科学」

医療・健康・介護のコラム

休校、在宅勤務が終わったら…早起きが苦痛な人に贈る「体内時計の直し方」

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 こんにちは。精神科医で睡眠専門医の三島和夫です。睡眠と健康に関する皆さんからのご質問に、科学的見地からビシバシお答えします。

 新型コロナウイルス感染症の新規患者数が減少し、ようやく収束の兆しが見えてきました。深刻な状況だった東京や大阪などの大都市圏でも新たな患者数は減ってきました。4月7日に緊急事態宣言が発令されて以降、不要不急の外出を控えた皆さんの努力のたまものです。まだまだ気を緩めることはできませんが、営業を再開したり、在宅勤務から出社に切り替える準備を始めた人もおられるでしょう。ところが、長く続いたStay Home(ステイホーム)の結果、睡眠や生活リズムが乱れ、「以前のように早起きして通勤する自信がない」と感じている人も少なくないようです。その原因と対策を考えてみましょう。

「以前よりつらい」と感じるのはなぜか?

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、私たちの生活スタイルは大きく変わりました。その代表的なものが「ステイホーム」です。休校や休業中はもちろん、在宅勤務中の場合でも、起床時刻はともすれば遅れがちになります。「ウイルスは心配だけれど、在宅勤務のおかげで寝坊ができ、睡眠不足が解消された」と感じた人もいると思います。

 ところが、緊急事態宣言が解除されて、実際に出社や登校をしようとすると、睡眠不足ではないはずなのに、以前よりも「起床がつらい」「早寝ができない」と感じる人が少なくありません。その理由は、ステイホームのために、体内時計の時刻が遅れているからなのです。

 私たちの体内時計の一日の長さ(周期)は、平均すると24時間よりも長いことが分かっています。周期が長い分、日々、時刻を調整しなければ、体内時計は遅れ、徐々に寝つきや目覚めが悪くなります。睡眠だけでなく、血圧や体温、ホルモンなど体の機能の大部分は体内時計で調整されています。この調整がうまくいかないと、体の機能全体が遅れるため、起床後も「 倦怠(けんたい) 感が残る」「集中力が湧かない」など、夜型特有の不調に見舞われようになるのです。

体内時計の遅れをリセットするのは朝の光

 体内時計の時刻調整に大きな役割を果たしているのが光です。私たちは、普段、登校や出社の時刻に合わせてアラームをセットし、無理矢理にでもいったん目を覚まします。毎日、一定の時刻に光を浴びる(正確には目の網膜に光が届く)ことで、体内時計をリセットしているのです。そのメカニズムについては以前のコラム 『秋は「夜型化」の季節 良い睡眠のため、午前中は「上を向いて歩こう!」』 でご説明しました。昼と夜では光の効果は異なります。特に午前中は、朝日のようなの強い光を浴びることで、効率的に体内時計を早める(朝型にする)ことができるため、早起きが苦手な人にとって大事な時間帯です。

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三島和夫(みしま・かずお)

秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座 教授

 1987年、秋田大学医学部卒業。同大助教授、米国バージニア大学時間生物学研究センター研究員、スタンフォード大学睡眠研究センター客員准教授、国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。日本睡眠学会理事、日本時間生物学会理事。著書に『不眠症治療のパラダイムシフト』(編著、医薬ジャーナル社)、『やってはいけない眠り方』(青春新書プレイブックス)、『8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識』(共著、日経BP社)などがある。

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