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乳幼児の熱中症死 半数以上は車内で…「子どもの置き忘れ」が起きやすい状況とは?
急に気温が上がってきましたね。マスクを着けながら過ごす夏は、熱中症のリスクが高いとされています。注意喚起の情報も増えてきました。
高齢者だけでなく小児も熱中症にかかりやすいと言われます。もっとも例年は、小学校高学年以上の部活動絡みが中心でした。今年はこれまでと違って、部活動や大会が縮小され、こうした熱中症は例年ほど多くないかもしれません。
乳幼児も注意が必要ですが、実際には保護者が近くにいることが多く、重い熱中症にまで至る件数は多くありません。ただし、乳幼児に際立って多い熱中症のパターンがあります。新型コロナウイルス感染の拡大に見舞われた今年は、そのパターンでの発症が増えるかもしれません。
それは、「自動車内に閉じ込められた子どもの熱中症」です。
「自分は絶対にしない」と思っていても
緊急事態宣言は多くの地域で解除されましたが、引き続き外出自粛が呼びかけられています。「子連れでスーパーに入るのを自粛した方がいいのでは」と感じている保護者も多いと思います。「短時間の買い物なら……」と、子どもを車内で待機させる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、子どもを車内に残すと、熱中症のリスクは非常に高くなります。そして、知っていただきたいのは、「自分は車内放置など絶対にしない」と保護者が思っていても、子どもが熱中症になってしまうケースがあることです。どういうことでしょうか? 今回は、車内放置による子どもの熱中症について、現実的な提案を含め、考えてみたいと思います。
乳幼児の熱中症死 55%が車内閉じ込め
米国では、毎年、40~50人ものお子さんが、自動車内の熱中症で死亡しています 1) 。少し古い 米国の調査 では、自動車内で放置されたことが原因で死亡した78人の子ども(14歳未満)の82%が3歳以下。また、78人のうち35%が熱中症でした 2) 。車内放置が原因で子どもが亡くなった16例を検討した イタリアの報告(2013年) でも、うち14例が3歳以下でした 3) 。亡くなるのは、小さなお子さんが多いようです。
もちろん、海外に限った話ではありません。我が国のデータでも、過去45年間に熱中症で死亡した4歳以下の子どもは、288例に達しています。このうち158例(55%)が、自動車などに閉じ込められたことによる熱中症でした 4) 。乳幼児が重い熱中症になったケースの半数以上は、車内の閉じ込めが原因なのです。
2018年8月の1か月間にJAF(日本自動車連盟)による「キー閉じ込み救援」のうち、 子どもが車内に残されたままのケースは、全国で246件に上っています5) 。また 10年12月から11年1月にかけて行われたJAFによるインターネット調査 では、回答者の28.2%が、「子どもを車内に残したまま車を離れたことがある」と回答しています 6) 。子どもが車内に放置されるケースは少なからずあるようです。そしてこれが、車内熱中症のリスクとなります。
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