中川恵一「がんの話をしよう」
医療・健康・介護のコラム
夫が一日1箱以上吸うと、妻の肺腺がんリスクは2倍に…日本の受動喫煙対策は「前世紀並み」
喫煙はがんの最大の原因で、日本人男性の場合、喫煙者は、非喫煙者に比べて肺がんのリスクは4~5倍に増えます(肺がん以外にも、ほとんどすべてのがんを増やします)が、この倍率は、欧米では10~20倍と言われます。
東洋人に特有の遺伝的要素もありますが、欧米に比べ、日本では受動喫煙がまだ多いことも背景にあると思います。日本人の場合、本人がたばこを吸わなくても、日々の受動喫煙でがんのリスクが高まってしまい、喫煙者と非喫煙者の差が欧米ほどつかないというわけです。
100ミリ・シーベルトの被ばくに相当
私はお酒を飲みますが、たばこは吸いません。「受動飲酒」はありませんが、たばこの場合は、受動喫煙でもがんが増え、「自業自得」では済みません。たばこの最大の問題は受動喫煙にあり、自らに原因がない不本意な健康被害という点では、原発事故に近い性質を持つと言えるかもしれません。実際、受動喫煙の発がんリスクは、100ミリ・シーベルト程度の被ばくに相当します。
副流煙の発がん性物質は3~5倍
たばこの煙には、発がん性のある物質が60種類も含まれており、タールやニコチン、ベンゾピレンなどの発がん性物質の濃度は、喫煙する本人が吸う主流煙より、周囲の人が受動喫煙する副流煙の方が高く、3~5倍になります。たばこを吸わない奥さんが、一日に1箱以上吸うご主人と暮らしていると、奥さんの「肺腺がん」の危険は約2倍になります。
受動喫煙は、がんの他、心筋梗塞や脳卒中など、近くの日本人の死亡原因となっています。そのうち約半数が、職場での受動喫煙によって引き起こされる肺がんと心筋梗塞 で、年間に男性1814人、女性1811人、合計3625人もの人命が失われていると推計されています。
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受動喫煙について以前から困っていました。日本の団地では、窓と窓が接近しすぎて、近隣の喫煙が自宅に侵入してくるのです。旧公団住宅ではその傾向が特にあり、管理会社に言っても相談自体を悪く言われます。現在の新型コロナウィルス騒動を機に、皆さん是非禁煙されたし。自他ともに健康のために。
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