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がん患者団体のリレー活動報告

医療・健康・介護のコラム

若年性乳がんサポートコミュニティ Pink Ring

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 40歳以下で発症する「若年性乳がん」は全乳がんの約6%と頻度が低く、患者は全国に点在している状況です。また、この世代の乳がん患者は、AYA(Adolescent and Young Adult の略で15歳~39歳の思春期・若年成人のこと)世代と呼ばれ、恋愛や結婚、妊娠、出産、子育て、仕事、経済的不安など、若年特有の悩みや不安を一人で抱えている方も少なくありません。

 そこで当会は、若年性乳がん患者支援団体として、若年性乳がん体験者が病気と向き合い、気持ちを整理し、がんになっても自分らしく希望を持って生きていけるように活動しています。

「Pink Ring Summit」で行われたパネルディスカッション(今年2月、東京の聖路加国際病院で)

「Pink Ring Summit」で行われたパネルディスカッション(今年2月、東京の聖路加国際病院で)

若年性乳がんのシンポジウムやおしゃべり会も

 私たちは主に、次のような活動を行っています。

(1)Pink Ring Summit(年1回)
 2010年の設立当初から毎年東京で開催している若年性乳がんに特化したシンポジウム。正しい医療情報と、仲間との出会いの場を提供しています。18年からは、地域の情報格差を緩和するため、北海道・東北・西日本の3支部の会場とインターネットを介して中継を結び、東京会場の講演などを地方に届けています。

(2)若年性乳がんおしゃべり会
 同世代の当事者が直接出会い、思いや体験を共有しあうおしゃべり会を、東京では月1回、北海道・東北・西日本の3支部では定期的に開催。東京では恋愛・結婚、仕事、パートナーの会、再発・転移と向き合う方の会など、テーマを決めて開催しています。

(3)若年性乳がん体験者のおしゃべり会全国キャラバン
 若年性乳がん体験者同士が出会い、若年特有の悩みを共有しあえるおしゃべり会を地方に届けています。また若年性乳がんについて学べるセミナーも同時開催。北海道から沖縄まで、これまで全国10か所をまわりました。

2019年10月に開かれた大阪キャラバンの参加者の記念写真。初対面の方がほとんどだったが、多くの人が連絡先を交換していた

2019年10月に開かれた大阪キャラバンの参加者の記念写真。初対面の方がほとんどだったが、多くの人が連絡先を交換していた

(4)会報の制作
 16年に「Pink Ring 冊子」を創刊しました。若年性乳がん体験者による座談会や体験談を盛り込み、毎年春に発行。全国のがん診療連携拠点病院にも送付し、設置をお願いしています。

(5)研究活動・研究支援
 研究活動として、「思春期・若年成人がん患者に対するがん・生殖医療に要する時間および経済的負担に関する実態調査」(17年)を行い、493人の声が集まりました。研究結果は日本乳 (がん) 学会や日本がん・生殖医療学会などで発表しています。また、研究支援として、イベントの収益の一部を、臨床試験組織 JBCRG の POSITIVE 試験に寄付しています。

オンライン型おしゃべり会をスタート

オンライン型おしゃべり会のイメージ。自宅にいながら仲間とつながり、悩みや不安を共有できる

オンライン型おしゃべり会のイメージ。自宅にいながら仲間とつながり、悩みや不安を共有できる

 全国キャラバンを通して、地方での支援の少なさ、そして孤独に病気と向き合っている方が多いことを痛感しました。

 そこで、AYA世代における支援の地域格差の緩和を目的に、どこに住んでいても、家にいながら、パソコンやスマートフォン、タブレットを使って参加できるオンライン型のおしゃべり会を19年11月からスタートしました。インターネット環境があれば、どこからでも参加可能で、参加者は画面を通して、リアルタイムにお顔を合わせてお話しできます。

 体調がすぐれず外出が難しい時や、現在の新型コロナウイルスの感染拡大防止のための外出自粛が続いている状況でも、自宅にいながら、安心して仲間とつながれるメリットがあります。これまで、日本国内のみならず、海外からの参加者もいらっしゃいました。

 参加者アンケートによると、参加前は、「インターネット上でどのように話をやり取りすればよいか不安」「システムへの接続がうまくいくか不安」などを感じている方もいましたが、参加後は75%の方が画面を通してでも、話しやすいと感じていました。また、「画面上だけで話したとは思えないほど親近感が湧き、日本全国に仲間がたくさんいることを実感した」「自宅でゆったりとした気持ちで参加できた」「仲間の輪がつながることで元気がでた」「たくさんの仲間に背中を押されて前向きになれた」などのうれしい感想をいただきました。

新型コロナ禍 オンラインでセミナーも開催

 当会では、新型コロナウイルス感染の収束がみられるまで、直接お会いする形でのイベントは自粛していますが、「WEBおしゃべり会」をはじめ、オンラインでのセミナーやヨガイベントを開催中です。4月末には、特別企画としてWEBセミナー「セルフストレスケアマネジメント~コロナ禍の不安や疲れをふきとばせ!みなさんはどんな風にストレス解消していますか?」も開催しました。

 このような状況の中で病気と向き合い、さらに不安を感じている方も少なくないと思います。今だからこそ私たちができる支援を考え、同じ当事者の立場から、これからも丁寧に運営していきたいと考えています。皆さんそれぞれが抱えている心の重荷。Pink Ringはそれをそっと置いていただける、もう一つの居場所になれたらと願っています。

若年性乳がんサポートコミュニティ Pink Ring

 2010年に聖路加国際病院の若年性乳がん患者に対するグループ療法の臨床試験としてスタート。その後、臨床試験参加者により患者コミュニティーが設立された。15年に体制を一新し、現在は体験者と医療者が協働で運営する〝若年性乳がん体験者のための患者支援団体〟として活動している。具体的な活動は、(1)若年性乳がん特有の悩みや不安を共有しあうコミュニティーの提供、(2)病気や治療と向き合う上で必要な正しい情報の発信、(3)若年性乳がんに対する研究支援や研究活動……など、体験者の目線、医療者の目線から、20歳代・30歳代の乳がん体験者を多角的にサポートしている。東京本部を拠点に、北海道支部、東北支部、西日本支部がある。メール会員573人(2020年4月現在)。

 ホームページ  https://www.pinkring.info/

 このコーナーでは、公益法人 正力厚生会が助成してきたがん患者団体の活動を、リレー形式でお伝えします。

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公益財団法人 正力厚生会

【助成団体募集】10月2日まで来年度の助成申請を受け付け中です。

 正力厚生会は1943年(昭和18)に設立され、2009年に公益財団法人となりました。「がん医療フォーラム」の開催など、2006年度からは「がん患者とその家族への支援」に重点を置いた事業を続けています。
 現在は、医療機関への助成と、いずれも公募によるがん患者団体への助成(最大50万円)、読売日本交響楽団弦楽四重奏の病院コンサート(ハートフルコンサート)を、事業の3本柱としています。
 これからも、より質の高いがん患者支援事業を目指していきます。
 〒100-8055 東京都千代田区大手町1-7-1 読売新聞ビル29階
 (電話)03・3216・7122   (ファクス)03・3216・8676
  https://shourikikouseikai.or.jp/

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