街で障害のある人と出会ったら~共生社会のマナー
医療・健康・介護のコラム
新型コロナ拡大で増えた「行列」…並ぶのが困難な人に配慮を
ヨミドクターをご覧のみなさま。サービス介助士インストラクターの冨樫正義です。今回は、みなさんが当たり前に行っている「列に並ぶ」ということについて、一緒に考えていきましょう。
折れ曲がった列に車いすでは…
新型コロナウイルスの感染拡大で、ソーシャル・ディスタンスをとることが求められています。スーパーマーケットなどのレジでは、一定の距離を置いて並ぶよう、立つ位置を決めているお店も見受けられます。
しかし、全ての人が、新しいルールを柔軟に受け入れ、並ぶことができるわけではありません。今回は、そもそも並ぶことに困難を感じている人について考えてみます。
例えば、視覚障害者にとっては、どこが列の最後尾なのかが分かりにくいですし、前に並んでいる人が徐々に進んでも、それに気が付かないこともあります。
車いす使用者にとっては、銀行などのATM(現金自動預け払い機)や自動精算機の順番待ちのとき、ポールやロープを使って列が折れ曲がるように設定されていると、前に進みにくいことがあります。リクライニングタイプの車いすを使用している人や介助者にとっては、列に並ぶこと自体が難しいこともあります。内部の障害や脊髄などの損傷により体温調節が難しい人にとっては、テーマパークなどで炎天下に長時間並ぶことは困難です。
知的障害や発達障害がある場合、大勢の人がいると気になって落ち着かなかったり、長時間じっとしていることが苦手だったりして、並ぶのが苦手な人もいます。その他、高齢者や妊婦、子ども連れも、長い間、立って待つことは大変です。
社会でどのような工夫ができるのか
では、どのようにすればよいのでしょうか。
障害のある人などが抱える困難は、社会や事業者側が作っている「列に並ぶ」という仕組みが生み出していると考えられます。障害者差別解消法では、事業者は、サービスを受ける上での障壁(バリア)を除去するよう本人からの申し出があった際は、負担のない範囲で、それを解消できるように、工夫や調整をする「合理的配慮」の提供が求められています。つまり、バリアを本人の工夫や我慢で解決するのではなく、「社会でどのような工夫ができるのか」という視点で考えているのです。
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