常喜眞理「女のココロとカラダ講座」
医療・健康・介護のコラム
血糖値は気にするが、多い“コレステスルー”…更年期女性多く、年に3キロ太ったら要注意!
「母も姉も高く、気にしていません」
OさんのLDLコレステロール値は、健診の基準値どころか病院の基準値もはるかに上回っていた。同じ脂質検査でも、HDLコレステロール値は45mg/dl、中性脂肪値は105mg/dlと、いずれも基準範囲内だった。
「コレステロール値が高いですね」と言うと、「それはいつも言われてますが、さほど気にしていません。母も姉も高く、母は薬を飲んでいます。でも、二人とも元気なので、今のところいいかなあ。『体質が似ているのかな』と思ってはいるんですけれど……」との答えが返ってきた。これが、いわゆる「コレステスルー」。糖尿病は怖いイメージがあるけど、コレステロールはそんなに気にしていない方が多い。
更年期女性はコレステロール値が上昇
40歳代後半に入り、更年期にさしかかってくると、女性はコレステロール値が上昇してくる。太りやすくなるのもこの頃。体重の微増なら構わないが、1年に3キロ以上増えたら要注意だ。過剰なカロリー摂取、食べ過ぎは、中性脂肪増加、LDLコレステロールの増加、HDLコレステロールの低下という血管リスクの増大につながる。すぐに症状は表れないが、心臓血管に関わる狭心症・心筋 梗塞 、脳血管に関わる脳梗塞、大動脈に関わる解離性大動脈 瘤 といった血管の病気を引き起こしてくる。高血圧、糖尿病があればなおさらだ。
Oさんは、幸い血圧は112/66mmHgと正常。糖尿病もなし。中性脂肪も高くない。タバコも吸わないし、家族に心筋梗塞や脳卒中の人もいない。ただ、体重が前年と比べて2.6キロ増加していた。よく見ると、前々年度も2.2キロ増加している。
階段ではなく、平地を速足ウォーキング
体重調整には、内臓脂肪を減らすのが手っ取り早い。そのためには、とにかく食べる量を減らすこと。皮下脂肪を減らすのは難しいが、内臓脂肪は減らしやすい。Oさんに、「間食のパンやスナック類、お酒を減らそう。筋肉が落ちないよう、適度な運動をして、お肉、魚、卵などの動物性タンパク質を食べること。膝に負担がかからないよう、階段ではなく、平地を少し速足でウォーキングしよう。家での筋トレ、最低でもスクワットも、5分でいいから始めてみよう」とアドバイスした。
私自身は、入浴後、髪をドライヤーで乾かしながらスクワットを50回行っている。真面目にやると息が上がるが、さぼりたい日はゆっくりだらだらと。まずは、継続することが大事……。そうしたこともOさんに話すと、「季節もいいし、外でウォーキングをして、お菓子と果物を減らすようがんばってみます!」と軽やかな返事がかえってきた。
食事療法を頑張っても高い値のままであれば、「遺伝と割り切って、血管を守っていくためにお薬を始める相談をしましょう」と3か月後の来院の約束をし、診察を終えた。(常喜眞理 医師)
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