今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」
医療・健康・介護のコラム
患者を苦しめる言葉「不定愁訴」 原因がない病はない
上咽頭に強い炎症があった
Hさんの症状は、どちらかというと首を中心に広がっています。どうやら、首や喉の周りに答えが潜んでいそうですね。
答えを知っていると簡単なのですが、Hさんの症状はまさに「慢性上咽頭炎」そのものと言えます。この病気を知っている医師はまだまだ限られており、いくら検査をしても診断名が出てこないのは仕方のないことかもしれません。
この慢性上咽頭炎の治療と診断をきちんと行うには、喉頭内視鏡を用います。Hさんは上咽頭部全体の腫れが確認され、炎症が起こっていることが分かりました。
初診時のHさんの上咽頭
歯ぐきが腫れていると、ちょっとした刺激で出血するように、炎症が強いと上咽頭の粘膜ももろく血が出やすくなっています。Hさんの上咽頭を細い綿棒で少しこすってみるだけで、かなりの出血がみられました。その状態を「治療後はごくごく血が飲めるほどだった」と述懐しておられます。
Hさんの場合はこの治療が効果あり、1回目の直後からせきが減少し、全部で10回(約5か月間)の治療で空ぜきが治癒しました。もちろん、口テープやあいうべ体操などの命の上流のセルフケアをしっかり行っていただきました。
慢性上咽頭炎の治療行う医療機関はまだ少ない
慢性上咽頭炎を患っている患者さんたちは、「不定愁訴」と最終的に診断されてしまうことが多々あります。慢性上咽頭炎の治療を行う医療機関は、日本でいまのところ200を超えたばかりです。耳鼻咽喉科だけでなく、その他の診療科でも治療を行っていけるように啓発活動に取り組んでいます。(今井一彰 「みらいクリニック」院長・内科医)
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