教えて!ヨミドック
医療・健康・介護のニュース・解説
妊婦の転倒 防ぐには?
バランス養う運動を
Q 階段を踏み外しそうになったわ。もうすぐ臨月。危ない、危ない。
ヨミドック 妊婦の転倒リスクは、高齢者並みに高いのですよ。
Q え、そんなに? びっくりね。
ヨ 日本で行われた調査では、妊婦775人のうち、約2割が転倒経験ありと答えました。転倒の半数が28週以降の妊娠後期に起きていました。妊娠初期の5倍でした。
転んだ時の動作は「歩行中」が37%と最多でした。ふらつく、滑る、つまずくことで転んでしまいます。さらに「階段を降りる」(16%)、「立ち上がる」(13%)、「座るためしゃがむ」(12%)と続きます。
転んだ場所(複数回答)は、「道路」「部屋や玄関」「階段」の順でした。
Q おなかの赤ちゃんへの影響が心配。
ヨ 転んで入院が必要なけがをした場合は、出産が早まったり、胎盤が剥がれたりする危険があります。赤ちゃんの命にかかわる報告もあります。海外の研究です。
Q おなかが大きく前にせり出しているから、転びやすいのよね?
ヨ 重心が前に移り、踏ん張ることも難しくなります。妊娠による体形変化にうまく対応できないのです。足を動かさずに前後左右に体を傾けられる範囲も狭くなります。
Q 転倒を防ぐ対策は?
ヨ 妊婦への研究では、スクワット10回を1セットとして1日2回続けたところ、筋力に変化はありませんでしたが、バランスはうまくとれるようになりました。
Q 運動がいいのね!
ヨ 妊娠経過に問題がなければ、運動には様々な効果があります。心も晴れ晴れし、体重のコントロールや痛みの緩和にも。ただ早産のリスクがある場合などは運動が適さないこともあります。妊婦健診で相談してください。
Q ほかには?
ヨ 転倒が起こりやすい動作や場所をチェックしておくことです。急に立ち上がらないように注意しましょう。滑りやすい敷物はなくし、床に物を置かないなど整理整頓を心がけましょう。
(中島久美子/取材協力=武田要・関西福祉科学大学教授、善方裕美・よしかた産婦人科院長)
ヨミドックは読売新聞の医療サイト・ヨミドクターのお医者さんキャラクターです。
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