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一病息災

闘病記

[ジャズピアニスト 国府弘子さん]心筋梗塞(こうそく)(2)出演見送り 仲間が穴埋め

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 救急搬送された川崎幸病院(川崎市)のCCU(心臓専門の集中治療室)で、緊急手術を終えた医師に、おそるおそる尋ねてみた。

 「午後6時にコンサートの本番が始まるんですが、私、行けますか?」

 すぐに「今、何言うたん?」と、医師がぐっと顔を近づけてきた。

 「あんたなぁ、急性心筋梗塞やで。アホちゃうか? これから心臓の 壊死えし の程度を調べるんやし、脳に飛んでいたら、何梗塞なのか、言うてみ!」

 コテコテの関西弁だったため、思わず「え、阪神高速?」などと軽口を返そうとしたが、医師の真顔に言葉をのみ込んだ。

 心筋梗塞は、心臓血管にコレステロールや脂質などが詰まってしまう病気。それが脳血管に飛べば脳梗塞になる。いずれも、一分一秒の遅れが命取りになるほどの重篤な状態にある自覚はなかった。

 もちろん、コンサート出演は見送り。複数のアーティストの競演ステージだったため、ほかの出演者が自分の穴を埋めてくれた。

 即興演奏が持ち味のジャズだからできたこと。自分のソロステージだったら、すでに会場に集まっているお客さんに帰ってもらわなければならなかった。

 「仲間がフォローしてくれたことには、ありがたくて涙が出ましたね」

ジャズピアニスト 国府弘子さん(60)

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