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中川恵一「がんの話をしよう」

医療・健康・介護のコラム

がんの大きな原因は「たばこ」と「運」…だからこそ早期発見を

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 がんの発生原因の半分以上が、喫煙、飲酒、食事、塩分過多、運動不足などによるものです。そして、男性のがんの5~6割、女性のがんでも3割程度が、予防できることが分かっています。

 なかでも、がんにならないために一番大切なことは、「たばこを吸わない」ことです。たばこの煙には数十種類の発がん性物質が含まれていて、これがDNAに結合し、細胞のコピーミスを起こしやすくするのです。

たばこがなくなればがん死の25%が消滅

 たばこは、がんの最大の原因で、日本からたばこがなくなれば、日本人のがん死亡の約25%(男性では約40%、女性では約5%)が消滅します。また、受動喫煙もがんを増やします。とくに、肺がんのリスクは、受動喫煙により3割も増えます。

 たばこのパッケージの裏には、「喫煙は肺がんの原因になる」という警告文が書かれています。これは間違ってはいませんが、誤解を与えます。たばこは、ほとんどすべてのがんを増やすからです。たとえば、肺がんによる死亡率は喫煙で4.5倍になりますが、喉頭がんでは30倍以上になります。

 今の警告文では、ヘビースモーカーが肺がん検診ばかり受けることになりかねません。「喫煙はがんの原因になる」と記載するべきだと思います。

 コロナウイルス感染症でも、喫煙者は重症化するリスクが高くなります。さらに、喫煙スペースはまさに「3密」の場所ですから、非常に問題です。これを機に禁煙されることを勧めます。

アルコールはたばこの発がん物質を活性化

 さて、私もお酒好きですから、あまり偉そうなことは言えませんが、アルコールでもがんは増えます。特に、お酒とたばこが重なると、がんの危険は一気に高まります。

 アルコール関連の酵素は、たばこの発がん性物質をより活性化する可能性があります。喫煙者の男性が、1日平均2~3合飲むと1.9倍、3合以上では約2.3倍、がんにかかるリスクが高くなります。特に大腸がんでは、1日平均2合以上のお酒を飲み、かつ、たばこを吸う男性の場合、どちらもやらない人に比べ、発生率が約3倍となります。もし、お酒も飲まず、たばこも吸わなければ、男性の大腸がん患者は約半分になる計算です。

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nakagawa-keiichi

中川 恵一(なかがわ・けいいち)

 東京大学医学部附属病院放射線科准教授、放射線治療部門長。
 1985年、東京大学医学部医学科卒業後、同学部放射線医学教室入局。スイスPaul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、社会保険中央総合病院(当時)放射線科、東京大学医学部放射線医学教室助手、専任講師を経て、現職。2003~14年、同医学部附属病院緩和ケア診療部長を兼任。患者・一般向けの啓発活動も行い、福島第一原発の事故後は、飯舘村など福島支援も行っている。

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新しい概念や技術を既存の社会に融合させる

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

放射線科専門医会雑誌で画像診断テレワーク推進の事例希望のお達しが来たので投稿しました。 テレワークの成功事例のみならず、新型コロナの感染力を想定...

放射線科専門医会雑誌で画像診断テレワーク推進の事例希望のお達しが来たので投稿しました。
テレワークの成功事例のみならず、新型コロナの感染力を想定した様々な運用やそのもとになるチームワークや育成支援も含めて、意見を出した方が良い、と。
完全なる遠隔診断のデメリットが書かれていましたので、そこはハイブリッドにするとしても、地域や組織ごとに個人も指揮系統もインフラも文化も変わるので、交渉事も含めて色々と想定する必要があります。
また、種々のがんの画像診断を日本の文化で放射線科だけで抱え込むのは難しいとも思いますし、更新の難しくなった放射線科専門医だけではもっと難しくなります。

画像診断が変われば診断が変わる可能性があり、診断が変われば治療が変わる可能性があります。
この可能性の問題は厄介で、大きく舵を切ることに対して、医療者も一般人もデメリットが発生する可能性が大きくなります。
とりわけ、物理的な問題よりも、心理的な問題の方が大きいでしょう。
皆が納得する落としどころを動かすことは危険な部分があります。
エゴとエゴのぶつかり合いの中で、余計な事をするなということになりかねません。
癌が発生しやすくなるということは、中長期的に健康や寿命を損ねるということですが、短期的にフォーカスすればどうか?
愛煙家コミュニティは医療界でも強いですけれど、彼ら彼女らとの摩擦を減らしてソフトランディングするには、それ以外の部分の可視化や代案の重要性も大きくなるのではないかと思います。

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