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森本昌宏「痛みの医学事典」

医療・健康・介護のコラム

ルイ14世も苦しんだ王侯の病「痛風」…鍋を食べても「締めの雑炊」は我慢して

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 「ゴルフ場で足の親指が痛くなって。昼休憩でステーキを食って、ビールを飲んだんが、あかんかったんかなあ」と言って、私の診察室に駆け込んでくる……といっても、実際は、歩くのもままならない様子で入ってくる方がおられる。そうです、あなたも十分に分かっておられるとは思いますが、「痛風」の発作で間違いないですよね。

 この患者さんのように、痛風持ちの方では、食事の影響で痛みが出たことを自覚されている場合が多い。ゴルフ中の脱水に加えての肉とビール、と心当たりがあるのだ。

スポーツによる足の負担も誘因に

 さて、この痛風を引き起こす物質がプリン体である。プリン体は肉や魚の内臓、アルコール類(特にビール)などに多く含まれている。通常は、プリン体を含む食物を取っても、体内で尿酸に代謝され、尿と一緒に 排泄(はいせつ) される。しかし、その代謝に異常が生じると、血液中の尿酸が増加し、尿酸の結晶(尿酸塩結晶)が関節内などに沈着して、急性の関節炎を引き起こすのだ。

 病名に“痛”との文字が入っているとおり、痛い。また、東洋医学では、体の深いところに障害を受けた状態を“風”と言う。ここで整理しておくと、痛みがあれば痛風、痛みがなく、血液中の尿酸値が高ければ「高尿酸血症」である。

 食事のみならず、スポーツによる足への負担、「高血圧症」の治療に用いるサイアザイド系利尿薬(フルイトラン)の服用なども発症の誘因となる。また、最近の研究によれば、尿酸を排出するポンプに関わる遺伝子があり、その遺伝子が変異する(ポンプを働かないようになる)と、痛風発症のリスクが約26倍高くなるとのデータが示されている。

一晩で関節が腫れ上がる

 突然、「万力で締めつけられるような」激烈な痛みが起こり、一晩で関節が赤く腫れ上がる(この腫れを“ポタグラ”と呼ぶ)。足の親指の付け根や、足首、アキレス (けん) に多く発生するが、この痛みは、数ある関節炎のなかでも最も激しいと考えられている。これを繰り返すのだから厄介である。

 関節炎が慢性期に移行すると、痛みは急性期のように激しくはなく、歩行時に鈍い痛みを感じる程度になるが、手、肘、膝などの関節にも痛みが出るようになる。また、高尿酸血症を長期にわたって放置すると、腎臓に尿酸の結晶が沈着し、腎不全を引き起こすことがあるから要注意!である。

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森本 昌宏(もりもと・まさひろ)

 大阪なんばクリニック本部長・痛みの治療センター長。
 1989年、大阪医科大学大学院修了。医学博士。同大学講師などを経て、2010年、近畿大学医学部麻酔科教授。19年4月から現職。日本ペインクリニック学会専門医、名誉会員。日本東洋医学会指導医。著書に『ペインクリニックと東洋医学』『痛いところに手が届く本』ほか多数。現在、大阪市北区の祐斎堂森本クリニックでも診療中。

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