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医療・健康・介護のニュース・解説

新型コロナ肺炎に呼吸困難を感じない「隠れ低酸素症」の可能性 進行に気づかず悪化…酸素測るパルスオキシメーターの使用を

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宮坂勝之 和洋学園大学学長補佐、聖路加国際大学名誉教授

 新型コロナ肺炎で自宅待機中の方の死亡や、行き倒れ、また入院後あっという間に進行した有名人の死亡などが報道され、国民の間に不安が広がっている。医療従事者たちは、今こそ、新型コロナ肺炎の隠れ低酸素症「サイレントハイポキシア」の存在に注目すべきだ。それが引き起こす深刻な事態の防止には、正しい理解に基づくパルスオキシメーター(指先に挟むだけで動脈血の酸素量を測れる装置)の使用が、極めて重要な役割を持つと考えられる。

発症に気づかず感染源 突然の悪化も

新型コロナ肺炎に呼吸困難を感じない「隠れ低酸素症」の可能性 進行に気づかず悪化…酸素測るパルスオキシメーターの使用を 新型コロナ肺炎は未知のことが多く、日本の経験だけで断定的なことは言えないが、海外の同僚からの情報も、次のような印象を裏付けている。患者が新型コロナ肺炎にかかったとしても、呼吸困難感(息苦しさ)を訴えることが少ない可能性があることだ。そのため、本人が発症に気づかず感染源になったり、医療者も進行に気付かず、「突然の悪化」だと感じたりしていると推察される。どのくらいの人に、いつそうした問題が起きるのかは分からないし、その理由がなぜかも推測の域を出ない。しかし、人間に備わった呼吸に関する二つの独立した調節機能、すなわち「動脈血の酸素を適正に保つ機能」と「炭酸ガスを適正に保つ機能」のうち、片方だけが働かなくなる場合があることと関係がありそうだ。

酸素の変化を感知する神経経路 味覚や嗅覚と共有

 新型コロナウイルスは、気道や肺胞周辺の細胞に入りこみ、酸素の取り込みを妨害する。動脈血中の酸素の変化を感知する受容体(センサー)は、大動脈や (けい) 動脈に接して存在し、迷走神経や (ぜつ)(いん) 神経を介して、 延髄(えんずい) にある呼吸中枢とつながっている。ウイルスによりセンサー機能が障害され、身体が酸素不足を認識できない可能性が生じうる。それらの神経経路が、味覚や嗅覚の経路と共有されていることも、新型コロナ肺炎との関係を疑わせる。新型コロナ肺炎はSARS(重症急性呼吸器症候群)とは違い、細い気道が特に詰まりやすく<、重症の酸素不足になりやすいともされる。酸素不足に対応できないことは、新型コロナ肺炎特有の病状の一つなのかも知れない。

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