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気象予報士ママの「健康注意報」 新見千雅

医療・健康・介護のコラム

紫外線に注意

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乳幼児の外気浴は大切、紫外線の対策が必要な時期

(提供・日本気象協会)

(提供・日本気象協会)

 清々(すがすが)しい陽気の日は気持ちがいいですね。

 乳幼児を外の空気に触れさせる外気浴は、よくおすすめされています。室内にいても換気をしながらベランダや窓辺での外気浴をすると、気分転換にもなるでしょう。乳幼児が外気浴をすると、気温、湿度の変化に触れることができ、汗をかいたりすることで体温調節機能が発達していきます。

 汗を分泌する汗腺の数は、生後約2年間の環境温度の影響を受けます。

 汗腺には、汗を分泌する「能動汗腺」と、汗を分泌しない汗腺があるのですが、2~3歳になる頃までに汗をかく機会が多い方が、汗を分泌する「能動汗腺」の数が多くなるといわれています。

 発汗量などの体温調節機能が大人と同じように働くのは思春期ごろと言われていますので、子どもが外で遊んで汗をかくことは、健康な体をつくっていくのにとても大切ですね。

 しかし、日光に当たると大人でも肌がヒリヒリ感じることがあるかもしれません。紫外線は春ごろから強くなりはじめるため、今はうっかり紫外線の影響を受けやすい時期です。そして、子どもの皮膚は大人より表皮が薄く、バリア機能が弱いので、ダメージも受けやすくなります。

 太陽の光には電磁波という波があり、波の間隔の長い方から赤外線、可視光線、紫外線(UV)に分けられます。私たちが日差しに温もりを感じるのは、太陽が赤外線を放射しているからです。まだ本格的な夏のような暑さを感じないから紫外線も強くないのでは、と思うことがあるかもしれませんが、実は暑さは赤外線から感じるもので、紫外線からは感じることができないのです。標高の高い所ほど紫外線量が多いので、山などで暑さを感じなくても日焼けした経験があるかもしれませんね。

 太陽光の中でも波長の短い紫外線はエネルギーが強く、その中でUV-A(紫外線A波)、UV-B(紫外線B波)は地表に到達するため皮膚への影響につながります。皮膚への影響はサンタンとサンバーンの2種類あり、メラニンを増やして色素沈着を起こすのがサンタン、急に起こる日焼けをサンバーンと言います。

 UV-Aは表皮の下の真皮まで達し、メラニンを増やして、色素沈着を起こすサンタンの原因となります。長期的にUV-Aの影響を受けると皮膚がたるんだり、しわになったりすることがあります。また、UV-BはUV-Aより有毒だと言われています。UV-Bは皮膚が赤くなり、日焼けするサンバーンの原因となります。長期的に過度に影響を受けると、皮膚がんや白内障となるリスクがあります。

 やはり、紫外線はなるべく避けた方がいいですね。

 UV-Bは、夏(5月~8月)は冬(11月~2月)の5倍以上と差が大きくなります。また一日の中では、UV-Bは太陽が最も高い位置となる12時頃がピークで、午前10時から午後2時の時間帯が紫外線の影響を受けやすいと言われています。この時間帯の外出はなるべく短時間にしたり、家の中でもカーテンを使うようにしたりすると、紫外線によるダメージを防ぎやすいでしょう。

紫外線の性質とは

 実際に地上に降り注ぐ紫外線は、オゾン層、雲の量などによっても変化します。

 UV-B領域の紫外線はほとんどがオゾン層で吸収されます。しかし、一部が地表に到達するため、オゾン層の変化にも影響を受けます。オゾン層には季節変化があり、日本付近では夏から秋にかけて少なくなります。

 オゾン層の破壊が懸念されているのは有名ですね。

 オゾン層が1%減ると、地表に到達するUV-Bの量は約1.5%増加すると言われています。

 かつて冷蔵庫やエアコンなどに用いられてきたフロンの一種であるCFCは、オゾン層を破壊することから、世界的に生産が規制されて、先進国では全て廃棄となりました。CFCの代替であるHCFCも、CFCほどではないけれどオゾン層を破壊するため、現在、生産の規制が進められています。今ではオゾン層を破壊しない代替フロンであるHFCの使用が増えています。しかし、オゾン層の破壊が顕著になる前の1980年以前と比べると、現在もオゾン層の少ない状態が続いています。ママやパパの世代が子どもだった頃には、紫外線を防ぐことをあまり意識しなかった、という方も少なくないですが、今の時代の子どもたちには、なるべく紫外線を防いであげた方がよいでしょう。

 そして、雲は太陽の光を遮るので、雲の状態や量によっても紫外線の量が変わります。快晴の時の紫外線の量を10割とすると、薄曇りの時は8割から9割、曇りの時は約6割、雨の時は約3割になると言われています。雲の間から太陽が出ている時には雲からの散乱光が加わるため、快晴の時よりも紫外線が多いことがあります。

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気象予報士ママの「健康注意報」

新見 千雅(にいみ ちか)
日本気象協会 気象予報士

 呼吸器、透析分野で看護師として勤務した後、気象会社で原稿の作成やラジオ番組を担当。現在は、日本気象協会と株式会社JMDCが進めている、気象データとレセプト(医療報酬の明細書)データを使って、様々な疾患の発症・重症化リスクに関する情報を提供するサービス「Health Weather(R)(ヘルスウェザー)」プロジェクトに参加している。
 2児の母として、妊娠・出産・育児にまつわる天気のコラムを執筆中。


鈴木 孝太(すずき こうた)
愛知医科大学医学部 衛生学講座 教授

 1974年、東京都生まれ。2000年、山梨医科大学医学部卒。2005年、山梨医科大学大学院医学研究科修了(博士(医学))。2011年 、University of Sydney Master of Public Health (MPH) Coursework修了。山梨大学医学部助手、助教、特任准教授、准教授を経て、2016年から現職。専門分野は周産期から小児期にかけての疫学、産業保健、ヘルスプロモーション。
 最近は、「Health Weather(R)」と共同で、気象と健康に関する研究を実施している。



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