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気象予報士ママの「健康注意報」 新見千雅

医療・健康・介護のコラム

紫外線に注意

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紫外線の対策 地表面からの反射があるため日焼け止めが効果的

紫外線に注意

 紫外線は空から地上に向かうものだけではありません。

 空気分子やエーロゾル分子に散乱されて届くものや、地表面で反射されるものがあります。

 地表面の反射率が大きいところは、小さい所よりも散乱光が強くなります。

 草地や土の上では10%以下、アスファルトは10%、水面は10~20%、砂浜は10~25%、新雪は80%と言われています。もし、外でピクニックするなら、日陰で、アスファルトから遠く、なるべく芝生や土の上などの場所を選ぶと、紫外線を防ぎやすいでしょう。水遊びをするときは、土の上で遊ぶときよりも紫外線の影響を受けやすくなりますので、一層の対策が必要です。

 日傘や帽子、ベビーカーのカバーは上空からの降り注ぐ紫外線には効果がありますが、地表面からの紫外線を防ぐには、日焼け止めを使うと効果的でしょう。

 わが家でも、子どもが生後3~4か月の首が座る頃から、だんだんと外出する機会が増えました。初夏の頃、外気浴のために帽子をかぶせて抱っこひもで散歩すると、脚だけが赤くなっていたことがあります。あわてて子ども用の日焼け止めを探したけれど、種類が豊富でどのようなものを購入するか悩んだことがありました。

 乳幼児の肌はデリケートですし、日焼け止めを付けた肌をなめてしまい体内に入ることともあるので、日焼け止めの成分を気にするママさんも多いと思います。

 日焼け止めに含まれている、紫外線を防ぐ役割のある成分は、紫外線散乱剤と紫外線吸収剤の大きく2種類があります。

 紫外線散乱剤は紫外線を反射・散乱して、肌に紫外線が届くのを防ぎます。

 鉱物(ミネラル)由来の成分が多いため、肌の色より白く見えることがあります。子ども用の日焼け止めは、この散乱剤のみで、肌への負担が少ないノンケミカルタイプのものが多くなっています。

 紫外線吸収剤は紫外線のエネルギーを吸収し、肌に紫外線が届くのを防ぎます。

 吸収剤の肌への負担は散乱剤よりも大きいので、毎日使うのは大人でも敏感肌の方は避けた方がいいかもしれません。また、乳幼児には吸収剤の入っていない子ども用の日焼け止めを選んだ方が良さそうです。

 日焼け止めを選ぶときの目安になるものの一つは、PAとSPFの指数の値です。

 UV-Aを防ぐPAは「+」が最大4個、UV-Bを防ぐSPF は最大値が50、それ以上なら50+と表示されています。

 PAとSPFの指数が高いものは、紫外線吸収剤が多く含まれていることが多く、紫外線を防ぐ効果が高いものの、肌への負担も大きくなりがちです。とはいえ、紫外線の体へのダメージは避けた方がよいので、スキーや砂浜に行くなど特に紫外線の影響を受けやすい時には指数の高いものを使うと良さそうですね。

 子ども用の日焼け止めはPA++、SPF20前後のものが多く、効果が低いのではと思うこともあるかもしれませんが、こまめに塗りなおしてあげることで、肌に負担をかけずに紫外線を防ぐことができそうです。

 大人も敏感肌の方は、普段使う日焼け止めは子ども用を共有して、こまめに塗りなおすといいかもしれません。

紫外線を浴びることのメリットもある ビタミンD不足に注意

 さて、紫外線を防ぐことは大切なのですが、紫外線にはビタミンDを生成するメリットもあります。ビタミンDはカルシウムやリンを体の中に吸収し、骨の発達を促す働きがあります。しかし、紫外線を極端に避けすぎてビタミンD不足となることがあり、近年、増加傾向にあります。

 乳幼児のビタミンD不足は、採血やくる病を発症することからわかる場合があります。ビタミンD欠乏性くる病は、カルシウムやリンの不足から骨の石灰化が障害される状態です。O脚や、歩行がしにくい、低身長などの症状があります。

 このことから、ある程度の紫外線を浴びることも必要なようです。

 目安としては日焼けするより少量の紫外線で、関東地方なら夏期は朝夕で一日に約10~15分、冬は日中1時間以上と言われています。紫外線の量は、緯度が低い地域ほど強くなります。また、ビタミンDは乳児用のミルクにはたくさん含まれていますが、母乳には少量しか含まれていません。食事には卵黄、サケやサンマなどの魚に多く含まれていますので、離乳食が始まってからのメニューに加えるとよさそうです。

 母乳栄養、アレルギーなどの理由で食事制限をしている、紫外線が不足しがちな高緯度の地域の冬季など、ビタミンDが不足しがちな複数の要因が重なるなら、乳幼児用サプリメントでビタミンDを補給する方法もあります。サプリメントは過剰に摂取することにも気を付けなくてはいけないので、主治医の先生に相談してみてくださいね。

 日焼け止めなど日々の紫外線対策は大切ですが、徹底しすぎず、バランスのとれた栄養を取りながら健康な体を作りましょう。

 (新見千雅・日本気象協会 気象予報士)

 監修 鈴木孝太・愛知医科大学医学部教授(衛生学講座)

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気象予報士ママの「健康注意報」

新見 千雅(にいみ ちか)
日本気象協会 気象予報士

 呼吸器、透析分野で看護師として勤務した後、気象会社で原稿の作成やラジオ番組を担当。現在は、日本気象協会と株式会社JMDCが進めている、気象データとレセプト(医療報酬の明細書)データを使って、様々な疾患の発症・重症化リスクに関する情報を提供するサービス「Health Weather(R)(ヘルスウェザー)」プロジェクトに参加している。
 2児の母として、妊娠・出産・育児にまつわる天気のコラムを執筆中。


鈴木 孝太(すずき こうた)
愛知医科大学医学部 衛生学講座 教授

 1974年、東京都生まれ。2000年、山梨医科大学医学部卒。2005年、山梨医科大学大学院医学研究科修了(博士(医学))。2011年 、University of Sydney Master of Public Health (MPH) Coursework修了。山梨大学医学部助手、助教、特任准教授、准教授を経て、2016年から現職。専門分野は周産期から小児期にかけての疫学、産業保健、ヘルスプロモーション。
 最近は、「Health Weather(R)」と共同で、気象と健康に関する研究を実施している。



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