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気象予報士ママの「健康注意報」 新見千雅

医療・健康・介護のコラム

麻疹に注意

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春は予防接種のスケジュールをチェック

(提供・日本気象協会)

(提供・日本気象協会)

 昼間の時間が長くなり、晴れの日は春らしい陽気の日が増えてきましたね。

 春は低気圧と高気圧が交互に通過しやすく、晴れや雨など天気が周期的に変わります。春から初夏にかけては、次第に移動性の高気圧に覆われる日が増えて、晴天が多くなります。外出するには、よい気候となりますが、特に妊婦さんや乳幼児を連れてお出かけする方は様々な感染症が気になりますよね。

 予防接種のスケジュールは、赤ちゃんが生まれてすぐにチェックする方がほとんどだと思います。しかし、予防接種のスケジュールは変更が多く、上の子が接種したタイミングとは違うため、勘違いしやすいということも、ママの間ではよく話題になります。しかも、出産から1年前後までは、夜泣きでママが起こされることも多く、夜中に目を覚ますと毎日の生活リズムが乱れやすくなったり、乳幼児のリズムに合わせた生活が続いて疲れがとれなかったりなどの理由から、予定していたことをうっかり忘れていたなんてこともあると思います。また、ワクチン接種を予約していた日に子どもが熱を出したり、天気が悪くてかかりつけ医まで行けなかったりなど、スムーズに接種できないこともありますよね。また、インフルエンザウイルスなど、冬の寒い時期にかかりやすい、他の感染症を避けるために、受診するタイミングを寒さがやわらぐ春頃にずらして、ワクチン接種をする方もいらっしゃいます。

 ご自身の体調はもちろんのこと、子どもの体調や、天気など理由は様々ですが、ワクチン接種はスケジュール通りに行かないものと考え、子どものワクチンの定期接種、そして予定していたはずの任意接種を定期的にチェックしてみることをお勧めします。

特に麻疹の感染症に注意

 特に子どもが1歳を過ぎていて、MR(麻疹と風疹の混合)ワクチンの接種がまだの場合は、なるべく早く接種をした方がよいでしょう。麻疹の感染力は極めて強く、麻疹の免疫がない集団に1人の発症者がいたとすると、12~14人の人が感染するとされています(インフルエンザでは1~2人)。免疫のない方が感染すると90%以上が発症すると言われています。

 感染経路は接触感染や 飛沫(ひまつ) 感染だけでなく、空気感染もするため、手洗い、マスクのみでは十分な予防ができない可能性があります。麻疹の予防方法で最も効果的なのは予防接種です。

 麻疹は本来、春から夏にかけての時期に流行しやすい感染症です。

 麻疹は基本的に日本国内で発生することはないものの、流行が続いている海外からウイルスが持ち込まれる可能性がありますので、油断は禁物です。ちなみに、昨年(2019年)には、全国で744人が感染し、小流行しています。

 麻疹は、感染すると約10日後に発熱やせき、鼻水といった風邪のような症状が表れます。38度前後の発熱が2~4日間続き、結膜炎症状が表れてきます。乳幼児では消化器症状として、下痢、腹痛を伴うことも多くみられます。発疹が表れる1~2日前ごろに、口内の頬の裏側にやや隆起した1ミリ程度の白い小さな斑点が出現します。この斑点は麻疹に特徴的な症状ですが、数日後に消えてしまいます。

 その後、体温は一時的に下がりますが、再び39度前後の高熱が出るとともに発疹が耳の後ろ、首から、顔、体幹、上腕、四肢へと全身に広がります。

 高熱は数日後に引きますが、発疹はしばらく残ります。せき、鼻水や結膜炎症状が軽快し、次第に元気さを取り戻していきます。

 ただし、症状が回復しても、免疫力は低下しています。他の感染症にかかり重篤化することもありますので、しばらくは体力の回復に努めてください。

合併症に注意

 先進国であっても、死亡する割合は1000人に1人と言われています。特に怖いのは合併症で、麻疹に感染した方の約30%は合併症を引き起こすと言われています。また、中耳炎や咽頭炎、咽頭気管支炎を引き起こすこともあります。

 脳炎は、麻疹感染者1000人に1人の割合で発症すると言われていますし、麻疹による肺炎には、ウイルス性肺炎や、免疫力の低下による細菌性肺炎があります。また、発症頻度はまれですが、脳炎を起こし、精神発達遅滞や 痙攣(けいれん)麻痺(まひ) などの後遺症を残すことや、死亡することがあります。さらに、麻疹感染者の10万人に1人の割合ではありますが、感染した5年から10年後に、知的障害や運動障害が進行する、亜急性硬化性全脳炎という合併症もあります。心配しすぎる必要はないのですが、麻疹の感染から回復して何年も元気に育っていた子どもが、長期間の潜伏期間を経て数年後に発症することもありえるということです。麻疹には、まずかからないのが一番なので、ワクチンを接種するタイミングを逃さないようにしましょう。

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気象予報士ママの「健康注意報」

新見 千雅(にいみ ちか)
日本気象協会 気象予報士

 呼吸器、透析分野で看護師として勤務した後、気象会社で原稿の作成やラジオ番組を担当。現在は、日本気象協会と株式会社JMDCが進めている、気象データとレセプト(医療報酬の明細書)データを使って、様々な疾患の発症・重症化リスクに関する情報を提供するサービス「Health Weather(R)(ヘルスウェザー)」プロジェクトに参加している。
 2児の母として、妊娠・出産・育児にまつわる天気のコラムを執筆中。


鈴木 孝太(すずき こうた)
愛知医科大学医学部 衛生学講座 教授

 1974年、東京都生まれ。2000年、山梨医科大学医学部卒。2005年、山梨医科大学大学院医学研究科修了(博士(医学))。2011年 、University of Sydney Master of Public Health (MPH) Coursework修了。山梨大学医学部助手、助教、特任准教授、准教授を経て、2016年から現職。専門分野は周産期から小児期にかけての疫学、産業保健、ヘルスプロモーション。
 最近は、「Health Weather(R)」と共同で、気象と健康に関する研究を実施している。



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