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医療・健康・介護のコラム

[俳優 杉田かおるさん](上)天才子役からバラエティーの毒舌キャラへ……子役の稼ぎで家族を支えた

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 7歳で子役としてテレビや舞台で活動を始め、20歳過ぎまで清純派女優として強い印象を残しました。そして30歳代では一転、バラエティー番組の“毒舌キャラ”でブレイク。40歳で名家の実業家との結婚が短期間で終わると、今度はこれが話題になって、ドラマにバラエティーに引っ張りだこに。そして、一般男性と再婚。母の介護のため仕事を減らしてきましたが、今年、ユーチューブで健康情報の発信を始めました。もうすぐ芸能生活50年を迎え、これまでカメレオンのようにイメージを変えてきた杉田さん。その実像は――。(聞き手・渡辺勝敏、写真・中山博敬)

子役の稼ぎで、姉妹2人の母子家庭を支えた

[俳優 杉田かおるさん](上)天才子役からバラエティーの毒舌キャラへ……子役の稼ぎで家族を支えた

――杉田さんのイメージは年代によって様々です。同世代だと、1972年のテレビドラマ「パパと呼ばないで」のチー坊のイメージが強いですね。女優のほか、バラエティーのタレントとしてご存じの方も多いでしょう。子役からのスタートですが、演技は大変ではありませんでしたか。

 テレビが好きで、テレビに出たくて、7歳の時に自宅近くの劇団に入ったのがきっかけで、お仕事をすることになりました。演じることは楽しかったぁ。お恥ずかしい話なんですけど、私が6歳の時に両親が離婚して、母と妹の3人暮らし。母子家庭ですが、父は養育費を入れてくれないし、母は体が弱くて働けなくて、子役の仕事で3人の暮らしを支えていたんです。演技をしていると、そういう現実を忘れられる面もありました。

――石立鉄男さんが主演の「パパと呼ばないで」では「天才子役」と言われましたね。

 母からは、「今日の本番をうまくやらないと、明日うまくなってもだめなのよ」と言われていて、すごく真剣に取り組んでいたんです。集中力と真剣さは今でも自慢ですが、子供なのに「気むずかしい」「とっつきにくい」「ピリピリして、周りが近寄れない雰囲気がある」と言われていたみたいです。そんな評価のひとつに「天才」というのもありましたね。

――女優としては、1979年の「3年B組金八先生」(TBS系)、翌年の「池中玄太80キロ」(日本テレビ系)などでも印象的な役柄を演じて話題を集めました。10代でも女優として順調に成長していきましたね。

 私はお芝居のことだけ考えていればいいし、お芝居をすれば、お金がもらえて食べるのは困らない。恵まれた環境にいると思っていました。でも、10代の終わりごろには、このままでいいのかって、すごく悩んだんですよ。小学校も中学校もあまり通えなかったし、同世代の子と遊んだ経験はほとんどありません。高校も通信制です。家庭教師をつけてもらって勉強はしましたが、学校も青春も犠牲にして演技をしているのって、人間としてどうなんだろう、これがずっと続くのはどうかな……、そんなことを考えることもありました。でも、現実は、家を支える大黒柱ですから、仕事が順調じゃないと困りましたからね。

借金返済、女優の仕事激減……旅や情報番組の出演で世界が広がる

 ――仕事は順調とはいえ、金銭問題では、ご苦労もあったようですね。

 「出資して事務所を作りませんか」って、うまい話を持ってくる人がいて、13歳の時に個人事務所を作りました。でも、1年で解散。借金だけが残ったのが1回目。その後、20歳代半ばのバブル景気の時代、父親の不動産の借金でいくつか連帯保証人になってしまって、1億円の借金が残ってしまいました。返済には時間がかかりましたが、本当に勉強になりました。

――大きな借金を抱えたころ、女優の仕事も壁に突き当たったそうですね。

 少女時代に清純派で売れていた人って、大人になる時のイメージチェンジが難しいんですよ。20歳代の半ばになると、演技の仕事がなくなっていきました。それまで情報番組や旅番組に出たことはなかったんですが、オファーをいただいた時に、「演技の仕事はないし」と、26歳の時に初めてやってみました。そうしたら面白くて、すっかりはまってしまいました。

 ドラマや映画の撮影で地方に行っても、空き時間は博物館に行くくらい。地域の風土に接する機会なんてほとんどありませんでした。旅番組だと、温泉に入ったり、地元のものを食べたり、それを通して人と接することができて、本当に楽しくて。それまで、ドラマや映画制作の現場でしか社会との接点がなかったので、世界がすごく広がりました。NHKの科学番組では、環境問題のゼミにも参加させてもらって、その時の関心は今も続いています。旅番組や情報番組をやらせていただいたおかげで、社会への関心が目覚めた感じでした。

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