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在宅訪問管理栄養士しおじゅんのゆるっと楽しむ健康食生活

医療・健康・介護のコラム

大好きな生ビールもテイクアウトで! 衛生的な「巣ごもり料理」のコツ、教えます

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 私が最後に外食をしたのは、3月の末でした。

 新型コロナウイルスによる感染が広がり、「Stay Home」が基本となる以前は、週末に家族でレストランへ行くなど、1週間のうち最低でも3回は外食をしていました。しかし、4月に入ってからは一切外食をしていません。毎日3度の食事作り、片づけ、まとめ買い、さらに増えてしまった家庭ゴミを出すことも大変です。ずっと「次の食事をどうするか」を考えており、それだけでもうんざりしてきます。

 外食は、おいしいものを手軽に食べるだけでなく、準備から片付けまで「食にまつわる、面倒なあれこれ」から解放されるために必要な、日常の一部でした。

 夕方のスーパーでは、一人で買い物をする男性をよく見かけるようになりました。おそらく、普段は仕事帰りに外食して帰っていた方々が、食材を求めて買い物に来るようになったからでしょう。

しっかり手を洗っても、タオルや包丁は……

 まず、小学校の家庭科でも習う当たり前のことですが、料理をする場合は爪を短く切り、指輪や腕時計などを外しましょう。意外とできていない大人が多いです。キッチンにはハンドソープを常備して、作業の合間にもこまめに手を洗えるようにしてください。ぬれた手を拭くのは紙のハンドタオルが理想ですが、普通のタオルしかない場合は、こまめに交換するように気を付けましょう。

 今年のゴールデンウィークは、仙台から出るわけにはいきませんが、いつもは帰省するたびに、私はついつい実家のキッチンの衛生環境をチェックしてしまいます。キッチンにかかったタオルがびしょびしょのまま一日中使われていると、そこから食中毒が起きそうで背筋が寒くなります。そんなときは、こっそり清潔なタオルに交換しています。

 日ごろ、在宅医療を受けている患者さんを訪問していますが、キッチンにハンドソープが見当たらないお宅が時々あります。生の肉や魚を触ったあと、ちゃちゃっと水で手を流しただけで、手づかみで盛り付けをしていませんか?

 包丁の柄を介して細菌やウイルスが広がることもあります。作業ごとに包丁の柄や刃の付け根までしっかりと洗うようにしてください。料理作りにおける食中毒対策の基本は、細菌やウイルスを「つけない、増やさない、やっつける」です。調理器具や手指を清潔に保つことは「つけない」ために最も大切です。

 料理の仕上げに添えることが多い刻みネギなどの薬味は、生ものを切る前に準備しておくとよいですね。そのためには、行き当たりばったりで料理をするのではなく、なるべく「料理の完成形」を想像してから調理を始めるようにしてみてください。薬味はまとめて刻んで冷凍するか、冷凍食品の刻みネギなどもそのまま料理に使えるので衛生的です。

余った野菜で、簡単、おいしい野菜スープ

 今では1人分の「パスタソース」や「鍋のもと」など便利な商品が増えましたが、料理によっては残ってしまうものもありますね。加熱調理を終えた料理は、菌を「増やさない」うちに、なるべく早く食べるのが基本です。以前、私が勤務していた病院では、厳しく温度管理された給食であっても、配膳後90分以内に食べられなかったものは基本的に廃棄することにしていました。

 料理は、「作りすぎない」「食べきる」をまず優先してください。残ったものはなるべく早く冷蔵庫に保管して、食べる際に料理の中心部までしっかりと再加熱をすることが重要です。

 我が家の場合、サラダなどの生野菜が余ってしまった場合は、次の日はスープや (いた) め物、チャーハンの具にするなど、加熱料理に変化させます。マグカップにサラダの残りを入れ、電子レンジで加熱することで付着している菌を「やっつけ」て、コンソメスープの (もと) と熱湯を加えるとおいしい野菜スープになります。

 「冷蔵庫に入れておけば安心」とお考えの方も多いと思いますが、料理がどのように作られ、食事中はどんな扱いをされたかが重要です。口に入れた箸でつついた料理を、数時間も温かい部屋に放置すれば、冷蔵庫に入れる前に細菌が増殖してしまうこともあります。料理を多く作りすぎてしまったら、食べる分だけ皿に取り分けて、残りは粗熱をとってすぐに冷蔵庫に保管しましょう。

こんなGWには、オンラインで帰省や同窓会を

大好きな生ビールもテイクアウトで! 衛生的な「巣ごもり料理」のコツ、教えます

愛用のグラウラーで生ビールをテイクアウト。おつまみは、ちぎっただけのキャベツで「おうち居酒屋」です

 レストランや居酒屋などで、新型コロナウイルスに集団感染している事例が後を絶ちません。そのため「外食自粛」の動きも広がり、飲食店はどこもかなり厳しい経営状況となっています。感染拡大防止のためにはやむを得ない状況ですが、この感染症が収束したころに、お気に入りのお店が以前と同じように開店してくれるのかはわかりません。

 私は、「グラウラー」という炭酸の液体も入れられる特殊な水筒を持って「いきつけのビアバー」を訪れ、ときどき大好きな生ビールと料理をテイクアウトしています。米国では、醸造所でビールを量り売りして持ち帰る文化が根付いているそうです。日本では酒類をテイクアウトとして販売することはできませんが、酒税法の特別措置で、申請が認められれば、期限付きで在庫の酒類を販売してもよいことになっています(期限付酒類小売業免許)。

 私は、地元東北の小さなビール醸造所で作られた個性豊かなクラフトビールが大好きなので、応援する気持ちも込めて、「ひいきの醸造所」のビールをグラウラーに注いでもらい、自宅で楽しんでいます。それだけでなく、苦境に陥っている仙台の飲食店を救おうと、ビール好きの仲間と一緒に「グラウラー部」を結成しました(笑)。

 自炊に疲れてしまった日は、レストランや居酒屋さんの料理をテイクアウトしてみてはいかがでしょうか。調理してからテイクアウトまでの時間を短くするため、あらかじめお店に予約をして、料理を引き取ったらなるべく早く食べてください。仙台の歓楽街「国分町」には、店の前に車を止めたまま「ドライブスルー」でテイクアウトできるお店もあります。しばらくの間は、以前のように居酒屋で大勢の人が集まる宴会はできそうにありません。今年のゴールデンウィークは、居酒屋の唐揚げや生ビールをパソコンの前に準備して、「オンライン」で帰省や同窓会を楽しみたいと思っています。(在宅訪問管理栄養士 塩野崎淳子)

参考資料:
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塩野崎顔2_100

塩野崎淳子(しおのざき・じゅんこ)

 「訪問栄養サポートセンター仙台(むらた日帰り外科手術WOCクリニック内)」在宅訪問管理栄養士

 1978年、大阪府生まれ。2001年、女子栄養大学栄養学部卒。栄養士・管理栄養士・介護支援専門員。長期療養型病院勤務を経て、2010年、訪問看護ステーションの介護支援専門員(ケアマネジャー)として在宅療養者の支援を行う。現在は在宅訪問管理栄養士として活動。

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