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視覚障害者の外出支援、コロナで不足…ヘルパー誘導「距離」保てず

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 視覚障害者が外出の際にガイドヘルパーに同行援護してもらうサービスが、新型コロナウイルスの影響で利用しづらくなっている。ヘルパーは通院や買い物に同行する際、視覚障害者に肘や肩をつかんでもらって誘導する。感染防止の距離を保てず、外出先での感染を懸念する声もあることから、人材確保が難しくなっているという。

 視覚障害がある東京都内の男性(72)は4月中旬、生活必需品の買い物に出るためNPOにサービス利用を申し込んだが、ヘルパーを派遣してもらえなかった。ほとんど見えなくなったのは60代になってからで、一人だけでの外出には慣れていない。買い物は近所の人に頼まざるを得なくなったが、「いつもお願いするのは気が引ける」と戸惑う。

 NPOの担当者は「体を離して誘導できないので、依頼を受けたがらないヘルパーもいる。通院にはできる限り同行するなどの努力をしているが、全ての要望には応えきれない」と、頭を抱える。

 厚生労働省は3月中旬、都道府県などに、同行援護などを行う事業所や自治体に十分な感染防止対策をしたうえで事業継続を求めるように周知してほしいと要請。事業所側もヘルパーの検温やマスク着用の徹底などの対策をしているが、人材確保が難しくなっているという。200人以上のヘルパーがいる東京都足立区の「otomo(オトモ)」は要望に応じられているが、鈴木貴達社長は「ヘルパーの不安が広がり、担い手不足にならないか心配だ」と話す。

 一人で歩いている視覚障害者が声をかけられる機会も少なくなったという。東京都豊島区の全盲の女性(64)は「これまでは通りがかりの人が道案内してくれることもあったが、コロナの感染が拡大してからは声をかけてもらえなくなった」と話す。

 全盲で、視覚障害者のIT利用に詳しい石川准・静岡県立大教授は「音声で道順を伝えるスマートフォンのアプリなどもあるが、視覚障害者は歩きながらの操作が難しい。人による支援は必要」と指摘する。

 日本視覚障害者団体連合は22日、同行援護が利用できるように地域内でのヘルパーの調整などを求める要望書を加藤厚労相などに提出した。

 橋井正喜常務理事は「視覚障害者とヘルパーが互いに気まずい思いをしない距離は必要。サービス継続と感染防止を両立する方法を早急に考えなければならない」と話す。 

 ◆同行援護=障害者総合支援法に定められた視覚障害者の外出をサポートするサービス。養成研修を修了するなどしたガイドヘルパーが外出に同行し、移動の支援や代読、代筆などを行う。

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