40代から備えよう「老後のお金」 楢戸ひかる
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知ってますか? 夫亡き後の妻を守る「配偶者居住権」が創設されました!
一昨年、約40年ぶりに、民法(相続法)が改正されたのは、ご存じですか? 法改正の話というと、「難しそう」と敬遠されがちですが、私たちの暮らしにフィットするように変化していくもの、それが「法律」なんです。今回の法改正で創設された「配偶者居住権」も、その一つ。なぜ、新しい制度を作る必要があったのでしょうか? 相続専門の税理士である廿野幸一(つづの・こういち)さんに、お話を伺いました。
再婚相手の子と仲が悪い どうなる?
厚生労働省調査 によれば、令和元年の婚姻は約58万組で、離婚は約21万組です。いわゆる「3組に1組は離婚する」という時代、40代の中にも、「実の両親は、離婚している。母親は既に再婚して、再婚相手の持ち家に住んでいる」というような事情のある人もいると思います。
廿野さんは言います。「配偶者居住権は、義理の親子関係がある家族で相続が起きた場合などに、知っておくと良い制度かもしれません」
具体例で、考えてみましょう。登場人物は仮名です。
尚子さんは、再婚相手である譲さんの持ち家に住んでいる。譲さんには実子の健一郎さんがいるが、健一郎さんは、義理の親子関係にある尚子さんのことを快く思っていない。尚子さんは、今、譲さんの持ち家に住んでいるが、譲さんの死後も、住み慣れたその家に住み続けられるのか?
子どもから訴訟を起こされたら…
もし、妻と子が実の親子であれば、夫の死後、持ち家は妻の名義にする、もしくは、妻と子が共有で所有する、という形になるのが、よくあるパターンです。また、相続が起きた時点で、持ち家の名義は子にして、母親が引き続き住み続けるケースもあります。
けれども、このケースの場合、健一郎さんと尚子さんは義理の親子。ポイントは、 健一郎さんが尚子さんのことを快く思っていない点 です。そうなると、健一郎さんが、「持ち家の一部を引き渡してほしい(共有物分割)」「家賃を払ってほしい(不当利得返還請求)」として、訴訟を起こす可能性は、実の親子の場合より大きそうです。
この場合、法改正以前だと、尚子さんが住み慣れた家に安心して住むためには、譲さんの持ち家を相続する必要がありました。例えば、譲さんが残した財産が、「自宅5000万円と預貯金5000万円」だったとすると、法定相続分として相続するなら、尚子さんが自宅を相続するかわりに、預貯金は健一郎さんに渡すイメージです。
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