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今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」

医療・健康・介護のコラム

関節炎と皮膚炎に悩む50代女性 「炎」との「縁」どう断ち切った?

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関節炎と皮膚炎に悩む50代女性 「炎」との「縁」どう断ち切った?

初診時のMさんの手のひら。炎症がひどい

 50代の女性Mさんは、関節炎と (しょう)(せき)(のう)(ほう) 症の二つの病気で悩んでいます。関節リウマチは慢性に経過する関節炎、関節痛で、人口の1%が ()(かん) していると言われる (こう)(げん) 病の代表的なものです。朝に長く続く手指のこわばりが特徴的で、それから引き続いて起こる膝や肩などの大きな関節の痛みや腫れが主症状です。

 一方の掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏に無菌性の膿疱が出現する病気で、時には皮膚炎だけでなく、関節炎を伴ったりします。以前、ある女優さんは掌蹠膿疱症性関節炎で悩み、一時は死ぬことも考えたというくらいの激痛に襲われたといいます。

 Mさんは、なんとこの難病が二つも合わさって発症してしまいました。4年前に発症した関節リウマチに続き、2年前に掌蹠膿疱症を患ってしまったのです。もちろん病院で治療を受けており、ビタミン剤や漢方薬、抗リウマチ薬などを処方されています。ところが症状はひどくなるばかりです。当然、日常生活にも支障が出ます。そこで思いあまって、新幹線に乗って当院まで受診してきたのでした。

虫垂炎の既往も なぜか「炎」に「縁」が

 問診票を見るとMさんは、虫垂炎の手術の既往もあります。いわゆる盲腸ですね。

 さて、ここで奇妙なことに気がつきませんか? Mさんは「なんとか炎」という病気にたくさんかかっていることに。皆さんの周りにもいませんか、こういう病気、病名が多い人。

 関節炎、皮膚炎、虫垂炎……。一見、関係ないような病気の羅列ですが、これが深くつながっているのです。それが「病巣疾患」という概念を知ると、よく分かります。

 病巣疾患とは、「ほとんど症状のない慢性炎症を起こしている原病巣が、それとは関係ない遠隔臓器に二次性の病気を引き起す病態」と定義されます。

 ことわざで言うと「風が吹けば (おけ)()(もう) かる」とでもなるでしょうか。一見まったく関係ない体の臓器同士のつながりが、病気の原因となっています。ですから、別々の病気と捉えられがちなのですが、そのつながりが解けると、するするとやっかいな病気が治っていく場合があります。

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(旭川医大耳鼻咽喉科HPより今井改変)

 上のことわざを医療用語に置き換えると、「吹いた風」が原病巣、「儲かった桶屋」が標的臓器となります。その間には、いろいろなつながりがあり、病気の発症というやっかいな問題が発生してしまった状態です。近年、免疫学の発達により、遠くの臓器同士の密接なつながりも解明されてきました。

 当院で調査すると、関節リウマチの人の実に3分の1に虫垂炎の既往があります。一般の人だと15分の1程度ですから、実に5倍の確率です。その他、慢性鼻炎や (へん)(とう) 炎の既往も数多く見られます。まさに「炎」つながりなのです。

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今井 一彰(いまい・かずあき)

 みらいクリニック院長、相田歯科耳鼻科内科統括医長

 1995年、山口大学医学部卒、同大学救急医学講座入局。福岡徳洲会病院麻酔科、飯塚病院漢方診療科医長、山口大学総合診療部助手などを経て2006年、博多駅近くに「みらいクリニック」開業。日本東洋医学会認定漢方専門医 、認定NPO法人日本病巣疾患研究会副理事長、日本加圧医療学会理事、息育指導士、日本靴医学会会員。

 健康雑誌や女性誌などに寄稿多数。全国紙、地方紙でも取り組みが紹介される。「ジョブチューン」(TBS系)、「林修の今でしょ!講座」(テレビ朝日系)、「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)、「ニュースウオッチ9」(NHK)、「おはよう日本」(同)などテレビやラジオの出演多数。一般から専門家向けまで幅広く講演活動を行い、難しいことを分かりやすく伝える手法は定評がある。

 近著に「足腰が20歳若返る足指のばし」(かんき出版)、「はないきおばけとくちいきおばけ」(PHP研究所)、「ゆびのば姿勢学」(少年写真新聞社)、「なるほど呼吸学」(同)。そのほか、「免疫を高めて病気を治す口の体操『あいうべ』」(マキノ出版)、「鼻呼吸なら薬はいらない」(新潮社)、「加圧トレーニングの理論と実践」(講談社)、「薬を使わずにリウマチを治す5つのステップ」(コスモの本)など多数。

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