プロ野球・阪神タイガース選手 原口文仁さん
一病息災
[プロ野球・阪神タイガース選手 原口文仁さん]大腸がん(4)野球で悩めるのは幸せ
昨年11月、がんや難病と闘う子どものための施設を慰問したときのこと。自身の大腸がんが進行性の「ステージ3b」だったと公表すべきかどうか、施設の医師に意見を聞いてみた。「3bで薬を飲みながら野球を頑張ったのはすごいこと。事実を知ったら、多くの人が勇気をもらえると思う」との答えが返ってきた。
さっそく2日後、記者会見を開き、初めて病状の詳細を明らかにした。「いま闘っている人たちに『僕も、私もできる』と思ってもらえたら」。決然と、でも深刻すぎないようにと努めた。「病気はしたけど、元気に野球できているよ」と伝えたかった。
がんになる前はプレーのことで自分を追い込み、思い悩んだ。「限りある命」と身をもって知った今は、「野球で悩めるのは幸せだ」と思える。治癒の一つの目安となる診断後5年に向け、あと4年、半年に1度の検診を続けていく。
慈善活動にも力を入れる。がんの早期発見・治療の大切さを伝える「グッチブレス」を販売し、収益の全額をがん関連団体に寄付。今年1月にはチャリティーランイベントを開いた。
今季の目標は、正捕手の座を勝ち取り、攻守でチームを優勝に導くことだ。「チャリティーを続けられるよう野球をもっと頑張りたい。責任を感じます」。持ち前のひたむきなプレーで、勇気や希望、感謝の思いを伝える。
(文・佐々木栄、写真・吉野拓也)
◇
プロ野球・阪神タイガース選手 原口 文仁 さん(28)