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のぶさんのペイシェント・カフェ 鈴木信行

医療・健康・介護のコラム

面会する時に大切なことは

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新型コロナのため制限も

食事の配膳も面会を終える良いタイミング

食事の配膳も面会を終える良いタイミング

 久しぶりにのぶさんのカフェに来た。夕方に近いこの時間は、のんびりした雰囲気だ。いつものカウンター席に座り、ブレンドコーヒーを頼んだ。私の隣には、顔なじみになった常連のお客さんが、のぶさんと話している。

 「実はね、遠方に住んでいる母が入院したんで、面会に行きたいのよね」

 「新型コロナウイルスの感染予防のために、家族であっても面会を制限している病院も多く、今後もどうなるか予測が難しいですけどね……」

 のぶさんは、そう前置きしたうえで、面会する際のノウハウを教えてくれた。のぶさんには、がんの闘病経験や生まれつきの障害があり、入院経験が豊富だ。

入院している患者の希望を確認しよう

 ・事前に相手の都合を聞く:いまはメールやSNSなどで本人と連絡が取りやすくなっている。同居の家族がいる場合は家族に聞くのもよい。ともあれ、面会できる状況なのか、あるいは本人が面会客を受け入れる余裕があるかを確かめる。

 ・病院の面会時間を確認する:多くの病院はホームページがあるはずなので、それを見て面会時間をしっかりと確認する。

 ・交通手段は事前に把握しておく:特に帰りの交通手段を失念しがち。バスやタクシーの乗り場や時刻は面会に行く前に把握しておき、面会時には相手に帰りの時刻を伝える。

 ・面会時間は短く:たとえ患者が歓迎してくれたとしても、体力が弱っていたり、何日もおしゃべりしていなかったりすると、想像以上に疲れる。面会時間は短くするのがマナー。

 ・ルールを守る:院内に立ち入る際には、記名し名札を付けたり、手洗いをしたりなど、ルールが示されているはず。それはしっかりと守る。

退院時に処分に困るようなものは避けて

 また、いざ面会に行く際には、なにかの手土産を用意したくなるものだ。

 「面会の時の手土産って何がいいのかしら?」

 「お母さまの趣味や好みがわからないので、何とも言えませんが、一般的には暇つぶしになるものがいいでしょうね」

 のぶさんが挙げたのは次のようなもの。

 ・雑誌や本:気軽に目を通せて、読んだ後に処分できる。

 ・テレビカード:病棟にあるテレビカード自販機で購入し、さっと包む。

 ・現金:結局は一番役立つ(笑)。

 のぶさんの経験からは、食べもの、においが出るもの、かさばるもの、残るものなどは困ったという。特に、退院時に大きな荷物になる物は避けるのが賢明だ。率直に、本人に何がいいかを聞いてしまうのもよいだろう。

治療についてのアドバイスは慎む

 「面会の際に気を付けることとしてなんですけどね……」

 のぶさんがさらに話を続けた。

 大切な心構えとしては、患者の病状や愚痴を聞いてあげるのはいいが、アドバイスはしないこと。特に、病気に関して、医師や病院と異なる治療方針の情報などは、入院中の患者にとっては、いま言われてもどうしようもない。かえって、悶々(もんもん)とした気持ちが大きくなるだけだ。

 話を聞いていたご婦人のお母さまは、スマートフォンなどは苦手らしく、メールでは連絡が取れないらしい。のぶさんは、話を続けてくれる。

電話をかけづらい場合には

 大部屋に入院している場合には、同室の人への迷惑を考えると電話はかけづらい。そこで、着替えなどとともに渡してもらえるよう手紙を預ける方法や、入院していても動けるのならば、毎日決まった時間に入院患者の側から電話をしてくれるように決めるなどの方法もあることを、のぶさんは提案してくれた。

 「手紙かぁ」

 隣で聴いていた私は、思わず声を出してしまった。家族や友人が入院すると心配になり、面会に行きたくなるのは自然な気持ちだ。しかし、場合によっては、会うのは遠慮しておくのも相手への思いやりかもしれない。

 「遠方だし、まずは手紙を送ってみようかしら」

 ご婦人も、そうつぶやいた。

 (鈴木信行 患医ねっと代表)

 下町と言われる街の裏路地に、昭和と令和がうまく調和した落ち着く小さなカフェ。そこは、コーヒーを片手に、 身体(からだ) を自分でメンテナンスする工夫やアイデアが得られる空間らしい。カフェの近所の会社に勤める49歳男性の私は、仕事の合間に立ち寄っては、オーナーの話に耳を傾けるのが、楽しみの一つになっている。

(※ このカフェは架空のものです)

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鈴木信行(すずき・のぶゆき)

患医ねっと代表。1969年、神奈川県生まれ。生まれつき二分脊椎の障害があり、20歳で精巣がんを発症、24歳で再発(寛解)。46歳の時には甲状腺がんを発症した。第一製薬(現・第一三共)の研究所に13年間勤務した後、退職。2011年に患医ねっとを設立し、より良い医療の実現を目指して患者と医療者をつなぐ活動に取り組んでいる。著書に「医者・病院・薬局 失敗しない選び方・考え方」(さくら舎)など。


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