子どもの健康を考える「子なび」
医療・健康・介護のコラム
成長期のスポーツ(10)疲労骨折 ストレッチで予防
成長期のスポーツでは、日本スポーツ医学財団理事長の松本秀男さん(66)に聞きます。(聞き手・西原和紀)

疲労骨折は、骨に小さな力が繰り返し加わることで起こります。一度の大きな力で生じる通常の骨折とは異なる点です。
スポーツによって体重がかかる足の甲の部分( 中足骨 )や、すね( 脛骨 )などで起きやすく、マラソンなど長距離を走る陸上競技や、サッカーなどで注意が必要です。
足などに痛みが出たため、レントゲンを撮ったが、異常は見つからない。周りから「頑張れ」と励まされ、無理して練習を続けたら……。疲労骨折を起こしやすい危ないパターンですね。
集中的に練習した後に痛みが出て、休んで良くなったものの、また同じような痛みを繰り返す。そんな場合は、疲労骨折が疑われます。
レントゲンで分からないことも多いため、足の甲やすねに痛みがあるなら、念のため、MRI(磁気共鳴画像装置)などでよく調べてもらった方がいいでしょう。成長期には、骨が成長していくための軟骨を痛める「 骨端症 」のこともあり、成長障害を起こさないためにも、きちんと診断してもらうことが重要です。
治療は、患部に負担をかけないよう安静にするのが原則です。3~6週間が目安で、足底板や松葉づえを使うこともあります。骨がずれるなどの重症でない限り、手術をすることはほとんどありません。
成長期には、骨の成長スピードに筋肉の発達が追いつかず、筋肉が硬くなって柔軟性が低下します。疲労骨折を防ぐためには、運動前にアキレス 腱 などを十分にストレッチすることが特に重要です。
固い地面などの練習環境も関係するので、気になるときは、クッション性に優れたシューズを選ぶなど、工夫してみてください。
【略歴】
松本秀男(まつもと・ひでお)
整形外科医。慶応大卒。慶応大スポーツ医学総合センター教授などを経て、2019年4月から現職。
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