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森本昌宏「痛みの医学事典」

医療・健康・介護のコラム

「関節が痛くなったら明日は雨」 的中率は天気予報以上!?…天気痛

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 「膝の痛みが強くなってきよったから、明日は雨ですわ」

と断言する患者さんがおられる。この天気予報、驚くほどに当たってしまうのである。

 元来、人の体は、気圧、気温、湿度といった気象による要因から様々な影響を受けている。長年にわたり、痛みを抱えている患者さんでは、その経験をもとに、自身の体の変化から天気を予知できるのである。

 この点に関して、青森県立保健大学のグループによる研究結果が報告されている。「関節リウマチ」の患者さんたちに翌日の天気を予想してもらったところ、その正解率は62%であり、新聞の予報の52%を上回った。さらには、関節リウマチによる炎症が強い方の正答率が高かったのである。

 これら人を含む生き物と大気環境との時々刻々の関わりについて研究している分野が、「生気象学」である。その歴史は古く、ギリシャ時代に遡る。現在では、人の健康状態と気象との関係以外にも、洗濯日和、お出かけ日和、さらには花粉情報などの予報も行っている。

「フェーンが吹くと自殺者が増加」

 「夕方、子供が騒ぐと雨になる」との (ことわざ) があるが、これは低気圧の接近、通過に伴う体の変化を如実に表している。中国では「腰骨痛、雨打洞」、米国では「足の親指が痛むと雨になる」である。このような気象要因と関連して症状が変化する病気が「気象病」であり、生気象学の大きなテーマとなっている。

 寒冷前線の通過で引き起こされる「神経痛」「関節痛」「気管支ぜんそく」「心臓病」などは有名である。また、フェーン現象が起きると、自律神経の機能が不安定になることも知られている。事実、オーストラリアでは、「フェーンが吹くと気分が不安定になり、自殺者が増加する」とのデータが報告されているのだ。この結果を受けて、元日本地理学会会長の吉野正敏氏はその著書『医学気象予報』(共著、角川書店)のなかで、「フェーン現象の発生が予知できれば、人の生理、心理に及ぼす影響の予知も可能となる」としている。

 

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森本 昌宏(もりもと・まさひろ)

 大阪なんばクリニック本部長・痛みの治療センター長。
 1989年、大阪医科大学大学院修了。医学博士。同大学講師などを経て、2010年、近畿大学医学部麻酔科教授。19年4月から現職。日本ペインクリニック学会専門医、名誉会員。日本東洋医学会指導医。著書に『ペインクリニックと東洋医学』『痛いところに手が届く本』ほか多数。現在、大阪市北区の祐斎堂森本クリニックでも診療中。

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