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森本昌宏「痛みの医学事典」

医療・健康・介護のコラム

手術後も続く痛みやしびれ…増える腰椎術後症候群 受ける前にセカンドオピニオンを!

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 「腰の手術を受けたのですが、腰の痛みや脚のしびれがいっこうによくならなくて……」として、ペインクリニックを受診される患者さんがおられる。こうした方のように、「腰椎椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管 狭窄(きょうさく) 症」「腰椎すべり症」などに対する手術後に痛みが続いている、ないしは、新たな痛みが発生した場合には、「腰椎術後症候群」(フェイルドバックサージャリー症候群)と考えられる。難治性の腰・下肢痛の一つであり、再手術、再々手術を余儀なくされ、多数回腰部手術(“マルティプリーオペレーテッドバック”)となる。私は、「過去に計8回の手術を受けた!」という患者さんの治療を担当したことがある。

発生率は20~50%

  「手術の失敗」を意味するフェイルドバックサージャリ―症候群という整形外科医にとってありがたくない用語が医学論文で取り上げられるようになったのは、1970年代後半から(もちろんそれ以前にも存在したが)である。当初、その発生率は10%程度と考えられていた。しかし、現在では、術式によって異なるものの20~50%と推定されており、むしろ増加傾向にあるのだ。その原因の一つとして、加齢による腰椎の変形に対する固定手術件数の増加が挙げられている。

 症状の発生原因は多岐に及ぶ。

(1)手術直後から症状に変化がない、あるいは悪化した場合は、手術前から存在した神経障害の回復遅れ、手術中の神経損傷、担当した医師の不十分な手術手技などがその原因と考えられる。

(2)手術後に一時的によくなったものの、何らかの症状が出た場合は、手術後2年以内であれば、もとの症状の再発や不安定化、または、神経根(脊髄へ入る末梢神経の根元)周囲の癒着や炎症(癒着性くも膜炎)の発生が疑われる。一方、2年以上たってからの場合は、手術前とは異なった新たな問題(たとえば、他の部位での椎間板ヘルニアなど)が発生している可能性が高い。さらには、心因性の要素も加わり、ますます複雑になるのだ。

 診断では、まず「手術前と同様の症状」が存在するかどうかを吟味することが重要である。加えて、心因性の要素が関与しているか否かを確認することもポイントとなる。なお、上記の(1)ならびに(2)のうちで、神経根周囲の問題が疑われる場合は、さらなる手術は避けた方がよいだろう。

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森本 昌宏(もりもと・まさひろ)

 大阪なんばクリニック本部長・痛みの治療センター長。
 1989年、大阪医科大学大学院修了。医学博士。同大学講師などを経て、2010年、近畿大学医学部麻酔科教授。19年4月から現職。日本ペインクリニック学会専門医、名誉会員。日本東洋医学会指導医。著書に『ペインクリニックと東洋医学』『痛いところに手が届く本』ほか多数。現在、大阪市北区の祐斎堂森本クリニックでも診療中。

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