アラサー目前! 自閉症の息子と父の備忘録 梅崎正直
医療・健康・介護のコラム
真夜中、屋根の上に裸の子どもが…謎多き「夜の生活」
衣服の刺激を嫌がる感覚過敏
ヨミドクターの人気連載だった小児外科医・松永正訓さんの「いのちは輝く~障害・病気と生きるこどもたち」に、障害のある子どもと家族の写真を添えた写真家・名畑文巨さんは、昨年8月、障害のある子どもが着る衣服についてアンケート調査を行った。すると、「タグのない服にしてほしい」というメーカーへの要望が多く寄せられた。その理由について、名畑さんは「自閉症のある子は感覚過敏が多く、タグが肌にあたることが気になり着なくなる」ということを挙げている。僕らの周囲を見渡すと、自閉症に限らず、障害のある子に感覚過敏があるケースは少なくないようだ。
素っ裸になってから脱出
洋介に関しては、10歳前後の時期、とくにベッドに入ってから服の刺激が気になったようで、夜中の大脱出も、まず部屋で素っ裸になってから試みるのだった。
今から15年余り前、酔っぱらって午前様になってしまったお父さんなどは、月明かりの下で、裸の子どもが屋根に座っている非日常な光景を目撃していたかもしれない。そして、深酒しすぎたせいだと、思い込んだかもしれない。
唯一のプライベートな時間
大人になってからは夜の脱出癖がなくなった洋介だが、その代わり、今は一人で寝ている部屋で、何やらドタバタと動き回っている音が聞こえる。数時間も続くと、さすがに何をやっているのか気になって、のぞきに行くこともあるのだが、ドアを開けて入ると、「オヤスミっ!」と言って押し出され、ドアをバタンと閉められる。
ルームライトもつけない真っ暗な部屋で、場合によっては夜通し、一人で何をしているのか。それは、洋介が唯一守りたいプライバシーらしく、僕らにもいまだ謎である。(梅崎正直 ヨミドクター編集長)
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