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アラサー目前! 自閉症の息子と父の備忘録 梅崎正直

医療・健康・介護のコラム

真夜中、屋根の上に裸の子どもが…謎多き「夜の生活」

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 休日の朝、やけに家の前が騒々しい。ご近所の主婦らの声に、向かいのお父さんも交じっている。なんだか、みな必死だ。

 「洋ちゃん、それは無理!」

 おやおや? うちの話らしい。あわただしくピンポンを鳴らす人が……。妻が出て聞くと、「お宅の息子が、2階のベランダの手すりを平均台にして歩こうとしている」ということだった。外側に落ちたら、大けがではすまないかもしれない。

 僕は慌てながらも静かに階段を上って、音をたてないよう、そっとサッシを開けてベランダに出た。洋介はすでに手すりの上にいて、器用にバランスをとっている。刺激して足を滑らせないよう抜き足差し足で背後から近づき、さっと抱き寄せることに成功した。今までで一番、ご近所に感謝した出来事だ。

イラスト:森谷満美子

 

 

ベランダから屋根に乗り移り

  10代を迎えるころ、本人の興味・関心が広がり、身体的にも成長していくにつれ、行動範囲が広くなっていった。そこで問題となったのが、部屋からの「脱出」だった。

 ベランダ事件は昼間だったが、多かったのは夜間、次男と二段ベッドで寝ていた2階の部屋からベランダに出て、そこから1階部分の屋根に乗り移る。部屋のサッシは開けられないよう、ぎゅっと締め付ける器具をつけていたが、それも無理やりこじ開けてしまう。そして、家族が寝静まった真夜中に一人、屋根の上での自由な時間を満喫するのだった。

 それに、どういうわけか、その頃は夜中に着ているパジャマを脱いでしまって、真っ裸になることが多かった。障害のある子のなかには、衣服の刺激が嫌なのか、脱ぎたがる子もいて、「この子、家では真っ裸なのよ~」――なんていう話も聞く。

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梅崎正直(うめざき・まさなお)

ヨミドクター編集長
 1966年、北九州市生まれ。90年入社。その年、信州大学病院で始まった生体肝移植手術の取材を担当。95年、週刊読売編集部に移り、13年にわたって雑誌編集に携わった。社会保障部、生活教育部(大阪本社)などを経て、2017年からヨミドクター。

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