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「死にたい」に寄り添うには…松本俊彦氏に聞く

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「死にたい」に寄り添うには(5)歓楽街に近い学校で自殺が少ないのはなぜか?

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 安楽死や、終末期ではない状態での人工透析の中止は、明確な意思による「自殺」とも言えます。このことを私たちは、社会は、どう考えればいいのでしょうか。(山口博弥 編集委員)

武勇伝は語らない

「死にたい」に寄り添うには(5)歓楽街に近い学校で自殺が少ないのはなぜか?

松本俊彦氏

――子どもの場合、周りの人がどう気をつけたらいいのでしょうか。

 自殺のリスクが高い子たちの中で、実際に行動する人はごくわずかです。でも、危険因子を持っている子たちはすごく多いということを、理解しておく必要がある。ハイリスク群の中で、実際に行動を起こす少数の子と、そうでない子との差は、はっきりしないんです。だから、ハイリスク群にアプローチしようとすると、かなり大きな人数になっちゃって、「なんか、支援しても空振って、効率悪いよね」って思うかもしれないですよね。

 どんな人たちがハイリスクなのか。もちろん、いろんないじめとか、恋愛がらみのトラブルに巻き込まれるってこともある。だけど、知的なハンディキャップを持っていたり、すごく不器用で運動音痴で目立っていたり、あと外国人であるとか、そのコミュニティーの中で浮いてしまう別の要因が存在することもある。家族の誰かが精神疾患、あるいは健康問題を抱えていて、そのことに対して恥の意識を持っていたり、経済的に困窮していたり。そういう子たちが、ハイリスクだと言われてるんですよね。でも、そういう子って、教室を見渡しても、たくさんいるじゃないですか。そこが難しいところなんです。

――では、子どもに対してできることは?

 大人はあんまり、自分の武勇伝を語らない方がいいですよ。「自分もつらかったけど、そこで一念発起して頑張ってね、いい学校に行って、こうなれるから、頑張れ」とかね(笑)。そういう頑張った話じゃなくて、ずっこけた話とか、失敗した話、「実は俺もなあ、よくなかったんだよ。勉強もできなかったし。でも、失敗してもなんとかなるんじゃない?」っていう。子どもたちは大人の武勇伝より、失敗談の方に目を光らせるんです。それが、「今はダメでも、人生にはいろんな選択肢があるんだ」っていう気持ちにさせるのかな。

 成人に少し近い年齢になるんですけど、大学生の自殺で古くからよく言われていることがある。ある時期、街中にあった大学が、手狭になって、郊外の学園都市みたいなところに移転しましたよね。そうすると、自殺が増えるんですよね。学校の中でドン詰まると、本当に孤立しちゃう。

 自殺が少ない学校の特徴は、周りに歓楽街とか雀荘とかね、もう、学業から逸脱するのに便利な場所がたくさんあるんですよ。飲み屋でバイトしている友達がいたり。でも、そこで若者たちが見るのは、いろんな生き方があるってことなんだと思うんですよね。「多様な選択肢がある」っていうこと。それが、ドン詰まってる人たちにとって、逃げ道になる。

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