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医療・健康・介護のニュース・解説

【米国報告 パンデミックで際立つ命の格差】(下)黒人、ヒスパニックらの高い死亡率 彼らはなぜ重症化するのか?

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 前回 は、感染が拡大するアメリカで、介護職やレジ係など低賃金の労働者たちが感染の最前線に立たされており、こうした職に多く就いているアフリカ系やヒスパニック、ラティーノたちと、ホワイトカラーの人たちでは、感染するリスクに格差がありそうだとお話ししました。

「感染リスク」と「重症化リスク」 二つの格差

 さらに、ここにきて、 死亡者にアフリカ系住民(黒人)の割合が高いことがわかってきました 。ワシントンD.C.市内の新型コロナウイルスによる死亡者に、アフリカ系住民の割合が人口比に対して高いことを初めて発表するにあたり、自身もアフリカ系である バウザー・ワシントンD.C.市長は次のようにコメントしています

 「高血圧や糖尿病、心臓病のような基礎的な条件(のある人)に、このウイルスが特に厳しいことがわかっています。そして、アフリカ系アメリカ人は、これらの基礎疾患を抱えて毎日生活しています、おそらく他の大方のアメリカ人よりも大きな割合で」

 つまり、アフリカ系住民には元々基礎疾患を抱えている人が多く、重症化のリスクが高いというのです。そう考えると「重症化」のリスクにも格差がありそうです。

アフリカ系住民の「ソウルフード」

 この基礎疾患を抱える人の割合の高さについては、よく食生活が原因として挙げられます。食生活に起因する肥満や成人病は、アメリカ社会の大きな課題の一つです。肥満率は、都市部の白人層で低い一方、 アフリカ系住民は高い など、健康面の課題が大きいことが知られています。

 低所得者には、健康な食生活を学ぶ機会・環境が十分に与えられませんし、アメリカで安く食べられるものといえば、フライドチキンやピザなどのファストフードです。 私たちの団体 が活動する郡でも、低所得者の食の安定を話し合う地域会議を定期的に開催しており、健康的な食料摂取と食習慣の形成を助けることを大きなテーマとしています。

 歴史的な経緯もあります。私も大好きなアフリカ系住民の「ソウルフード」は、確かに揚げ物や濃い味付けが多いのですが、ルーツをたどれば、奴隷制時代、手に入る食材を少しでもおいしく食べようと工夫を重ねてきたことに行きつきます。歴史から生まれた食文化なのです。その文化を残しながら、健康な食生活に変えていく方法を模索することが、これまでも 提起されてきました 。

 さらに、住宅事情も健康に影響を与えていることが指摘されています。衛生状態が悪い古い住居や高速道路沿いなど環境の悪い立地に住んでいることなどから、 アフリカ系の子どもたちは他の子どもたちに比べ2倍ぜん息を患いやすい ことが指摘されています。また、全米で55万人にのぼる ホームレスの約4割はアフリカ系住民であり 、平素から健康上の問題を抱えやすいことに加え、新型コロナウイルス感染の危険がある現在でも、社会的距離をとることが難しい環境にあります。

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